北郷義久

北郷義久（ほんごう よしひさ）は、南北朝時代から室町時代前期にかけて活躍した日向の武将であり、北郷氏の二代目当主です。初代当主である北郷資忠の嫡男として生まれ、別名を誼久（よしひさ）とも称しました。彼は島津氏の一族であり、島津誼久とも呼ばれることもありました。

1375年、義久は神武天皇の宮居跡という伝説が残る南郷都島（現在の宮崎県都城市都島町）に都之城を築き、北郷氏の本拠地としました。この城の名が、後に都城という地名として一帯に広まることになります。同年、室町幕府の九州探題であった今川了俊が、九州三人衆と呼ばれる大友親世、少弐冬資、島津氏久を召喚した際、冬資を暗殺するという事件（水島の変）が起こりました。この事件に憤慨した氏久は、了俊のもとを離れて南朝に味方することになります。これにより、了俊は島津氏の薩摩と大隅の守護職を剥奪し、自らが兼任することになりました。

1377年、了俊は島津氏を討伐するため、五男の満範を日向に派遣し、島津氏の支族である北郷氏の都之城を攻撃しました。この戦いには、南九州の国人である市来氏、渋谷氏、牛屎氏、菱刈氏、禰寝氏、肝付氏、伊東氏、土持氏、北原氏、野辺氏、相良氏などが満範に従いました（南九州国人一揆）。義久は弟の樺山音久らと共に都之城を固守し、1379年には再び満範に攻め込まれました。島津氏久は北郷氏を救援するため出陣し、今川軍と激しく戦いました。この戦いで、義久の弟である基忠と忠宣が戦死し、義久自身も重傷を負いました。島津方にも大きな損害が出ましたが、今川方も大きな損害を出し、満範は都之城を落とすことができず敗退しました（蓑原の合戦）。

1392年に南北朝が合一した後も、島津方と今川方の争いは続きました。1394年の梶山城の戦いでは、義久の三男で北郷氏3代当主である久秀と四男の忠通が戦死しています。両者の争いは、1395年に了俊が上京し九州探題を罷免されたことでようやく終結しました。1401年には、島津元久と共に島津荘神柱神社の社殿を修復しました。

没年については正確な記録が残っていませんが、6月2日に都城で67歳で亡くなったと伝えられています。

義久は、激動の南北朝時代から室町時代初期にかけて、北郷氏の勢力を維持し、その後の発展の礎を築いた人物として、歴史に名を刻んでいます。

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