十戒 (映画)

映画『十戒』

『十戒』（じっかい、The Ten Commandments）は、1956年に製作されたアメリカの歴史映画であり、旧約聖書の「出エジプト記」に基づく名作です。この映画は、セシル・B・デミルが監督を務め、特に美術や特殊効果に力を入れた作品として知られています。最初の公開は1956年10月5日で、約2年後にデミルが死去したため、彼にとって最後の作品となりました。指定されたビスタビジョン方式で撮影されたこの映画は、その壮大さと深いメッセージを持つ内容で観客に強い印象を与えました。

あらすじ

物語は、エジプトでヘブライ人が奴隷として扱われていた時代から始まります。エジプトのファラオは、予言によると救世主が生まれることを恐れ、ヘブライ人の男の赤ん坊を全て殺すよう命令します。命運を逃れた一人の赤ん坊は籠に入れられ、ナイル川へと流され、やがてエジプト王女ベシアによって拾われ、モーセと名付けられ育てられます。

成長したモーセは、エジプトの王子として優れた知恵と能力を示し、王からも期待をかけられる存在になります。しかし、出生の秘密が王子ラメセスに明らかになり、モーセは砂漠に追放されます。彼はシナイ山の麓で羊飼いの族長ジェスロに拾われ、やがて彼の娘セファラと結婚し、新しい生活を始めます。

そんな中、モーセは神の声を聞き、ヘブライ人をエジプトから導き出す使命を与えられます。再びエジプトに戻った彼は、ラメセスにヘブライ人解放を求めるものの、拒絶されます。すると、神の力によりエジプトは十の災いに見舞われ、ついには王の息子までが命を落とす事態に。しかし、ラメセスは最終的にヘブライ人を解放せざるを得なくなります。

モーセはヨシュアに導かれ、多くのヘブライ人と共にエジプトを後にしますが、ラメセスは軍を率いて追いかけます。紅海の前まで迫った彼らは、モーセの祈りにより紅海が二つに割れ、ヘブライ人は安全に渡ることができましたが、ラメセスの軍は海の中に消えてしまいます。

その後、モーセはシナイ山で神から十戒を授かりますが、ヘブライ人は信仰を忘れ、金の子牛を崇拝してしまいます。モーセが山から降りると、その光景に愕然とし、十戒を投げつけ、神の怒りが下るのです。ヘブライ人は四十年間荒野を彷徨い、ようやく約束の地に向かう準備を始めます。

キャスト

• - モーセ（チャールトン・ヘストン）: エジプトの王子として育つヘブライ人
• - ラメセス2世（ユル・ブリンナー）: エジプト王
• - ネフェルタリ（アン・バクスター）: ラメセスの王妃
• - ベシア（ニナ・フォック）: モーセを育てた王女
• - ヨシュア（ジョン・デレク）: ヘブライ人

この映画はアカデミー賞で特殊効果賞を受賞し、その映像美や迫力ある演出が高く評価されました。モーセとラメセスの壮絶な対立、神の加護による奇跡、そして信仰と信念の物語が、現代においても多くの人々に感動を与え続けています。

もう一度検索