十楽寺 (阿波市)

十楽寺について

十楽寺（じゅうらくじ）は、徳島県阿波市土成町高尾法教田にある高野山真言宗に属する寺院です。山号は光明山、寺号は蓮華院と名付けられています。寺院の主な祭祀対象は阿弥陀如来で、これは鎌倉時代に制作されたと伝えられる坐像です。また、当寺は四国八十八箇所の第七番札所として、巡礼者にとって重要な存在です。

本尊と納経

本尊である阿弥陀如来は、人々が持つ八苦から解放され、極楽浄土へと導く存在とされています。寺の本尊真言は「おん あみりた ていぜい からうん」で、これを唱えることで阿弥陀如来の慈悲が得られると信じられています。また、十楽寺には独特のご詠歌があり、「人間の八苦を早く離れなば、到らん方は九品十楽」という内容が、この寺の教えを象徴しています。納経印は本尊に関連した愛染明王が描かれ、納経料は2024年4月以降も変わらず従来通りです。納経時間は午前8時から午後5時までで、特に10月と11月は早い時間からの対応が行われています。

寺院の歴史

十楽寺の創建に関する伝説によれば、弘法大師空海がこの地域を訪れた際、阿弥陀如来の姿を感じ取り、楠の木にその像を刻んで祀ったとされています。この出来事が十楽寺の設立の始まりとされ、寺号には人々が持つ苦しみから解放されるための十の光明の楽しみが込められています。最初の建立は寺の現在地から約3km離れた十楽寺谷の堂ヶ原であったと推測されていますが、その後、長宗我部元親の兵火により大部分が失われました。それでも、住職とその弟子たちは大切な仏像を運び出し、大門ケ原に安置しましたが、残念なことに弟子が矢に射られて命を落としました。その後、1635年に現在の地で再建され、今日に至ります。

境内の構造

十楽寺の境内にはいくつかの主要な建物が存在します。まず、竜宮門形式の山門を通ると、水子地蔵が並び、静かな雰囲気が漂っています。左側の石段を数段上ると、遍照殿への中門があり、そこには愛染明王が祀られています。この中門には「縁結門」と「縁切門」があり、それぞれ愛の成就や解消の願いを込めた人々が訪れています。本堂は平成6年に再建され、平成26年には本尊と脇仏が開帳されました。また、大師堂や治眼疾目救歳地蔵、小堂も境内にあります。納経所は中門の右にあり、参拝客に便利な位置に設けられています。

宿坊と駐車場

宿坊も完備されており、120名を収容可能です。境内には駐車場もあり、30台の普通車と5台のバスが駐車可能で、利用は無料です。

交通アクセス

十楽寺へのアクセスは、鉄道、バス、道路を利用することができます。JR高徳線の板野駅や、徳島線の牛島駅からのアクセスが良好で、それぞれの駅からは徒歩でおおよそ10km程の距離に位置しています。また、徳島バスの鍛冶屋原線では「東原」停留所から徒歩約0.8kmで到達できます。車の場合は、徳島自動車道の土成ICから約2.3kmと便利です。周辺には他の札所も点在しており、巡礼の一環として訪れるのに適しています。

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