千本城 (上総国)

千本城：里見氏ゆかりの戦略拠点

千葉県君津市広岡に存在した千本城は、上総松丘駅の東側、標高100～150mの山上に築かれた城郭です。久留里城の支城として機能し、里見氏の歴史と深く関わっています。

築城と里見氏

千本城の築城時期は明確には分かっていません。城址跡にある北野神社の社伝では、1488年（長享2年）に里見義実が築城したと伝えられています。しかし、この記述の裏付けとなる史料は乏しく、確証には至っていません。

南房総市の延命寺に伝わる『里見氏系図』には、里見義弘の子、里見義重（幼名：梅王丸）に関する記述があり、「上総国千本住人　東平安芸守女」という記述があります。これは、里見氏の武将である東平安芸守が千本城に住んでおり、その娘が里見義弘に嫁ぎ、梅王丸を産んだことを示唆していると考えられています。

内紛と廃城

『関八州古戦録』によると、1578年（天正6年）に里見義弘が亡くなると、跡を継いだ里見義頼と、義弘の孫にあたる梅王丸（里見義重）の間に内紛が発生しました。反義頼勢力は久留里城と千本城を拠点に抵抗しましたが、最終的には義頼が勝利し、梅王丸は出家させられました。

その後、千本城は里見義頼の支配下に置かれました。しかし、1590年（天正18年）の小田原征伐後、里見氏は豊臣秀吉によって上総の国を没収されたため、千本城は廃城となりました。

謎多き千本城

千本城に関する史料は少なく、築城時期や詳細な歴史については不明な点が多く残されています。しかし、里見氏と深く関わり、内紛の舞台となった千本城は、その歴史の中に多くの謎とドラマを秘めていると言えるでしょう。現在、城跡は静かにその歴史を語り継いでおり、訪れる人々に想像力を掻き立てます。 久留里城の支城としての役割、里見氏の動向を知る上で重要な史跡であり、今後の研究によって、新たな事実が明らかになる可能性も秘めています。地理的な位置からも、戦略上重要な拠点であったことが推測されます。

まとめ

千本城は、里見氏に関する歴史資料が少ない中で、貴重な史跡です。その築城経緯や詳細な歴史は謎に包まれていますが、里見氏の繁栄と衰退、そして内紛といった激動の時代を物語る重要な場所と言えるでしょう。 残されたわずかな史料から、歴史研究者だけでなく、歴史愛好家にとっても興味深い存在であり続けています。

もう一度検索