関八州古戦録

『関八州古戦録』について

『関八州古戦録』（かんはっしゅうこせんろく）は、江戸時代に著された軍記物の一つであり、享保11年（1726年）に成立しました。全20巻から成り、その著者は槙島昭武です。別名『関東古戦録』とも呼ばれています。

概要

本書は、戦国時代における関東地方の戦闘や外交状況について詳述しており、天文15年（1546年）の河越夜戦から天正18年の後北条氏の滅亡に至るまでの大小の合戦を取り上げています。これまでの戦記類のなかでも特に、関東各地に散逸していた戦記を丁寧に集約している点が特徴的です。

『関八州古戦録』は、一般的な軍記物が持つ口語的な語り口を避け、歴史事実を忠実に伝えようとする姿勢が強く見られます。そのため、歴史的な誤りは比較的少ないとされています。しかし、近年の研究では、「河越夜戦」や「小田井原の戦い」などにおいて、一次史料とは異なる誇張や創作が多く見受けられるとの批判も挙げられています。

研究における位置づけ

『関八州古戦録』は、戦国時代の実証的な歴史研究においては、原資料に基づいた良質なコンテンツが認識されていますが、その一方で他の軍記物の影響も強く残っています。そのため、戦国時代の研究には独特の課題があり、近世や近代に比べると古文書や日記などの同時代資料が欠如しているため、史料批判を行った上で慎重に使用される必要があります。

近代以降の出版状況

近代における出版は明治14年に刊行された『史籍集覧』に含まれ、同年の12月には『関東古戦録』として独立した形で発表されています。さらに、現代では新人物往来社から発行された『関八州古戦録』などもあります。

著者について

著者の槙島昭武は、越後流の軍学書である『北越軍談』も手がけており、彼の軍事的な視点や知識が『関八州古戦録』にも色濃く反映されています。彼の著作は、戦国時代の軍事史に対する理解を深めるための貴重な資源となっています。

『関八州古戦録』は、当時の戦国時代を背景にした歴史の重要な一部を成しており、今日においても研究者や歴史愛好家にとって大切な資料となっているのです。

もう一度検索