千葉貞胤

千葉貞胤の生涯

千葉貞胤は、鎌倉幕府末期から南北朝時代にかけての武将であり、千葉氏第11代当主としてその名を歴史に刻みました。父は第10代当主の千葉胤宗です。彼は、鎌倉幕府の有力者であった北条氏の得宗家当主、北条貞時より偏諱を受け、「貞胤」と名乗るようになりました。

正和元年（1312年）、貞胤は家督を継ぎ、千葉氏の当主となると同時に、伊賀や下総の守護職も引き継ぎました。元弘元年/元徳3年（1331年）には、後醍醐天皇の挙兵討伐のため京に滞在。元弘の乱では、鎌倉幕府側の北条貞直軍に属し、楠木正成が守る河内下赤坂城攻めで武功を挙げました。

しかし、元弘3年/正慶2年（1333年）に新田義貞が鎌倉幕府に反旗を翻すと、貞胤は義貞に味方し、武蔵国鶴見川付近で鎌倉街道を下る北条貞将を打ち破りました。この貞将は、貞胤の従弟にあたります。

建武政権が成立すると、貞胤は宮方につき、北朝方についた従兄の胤貞と千葉氏の家督を争うことになります。建武2年（1335年）には、胤貞と相馬親胤によって本拠地の千葉荘を攻められますが、同年11月に胤貞と親胤が足利尊氏の檄文に応じて上洛したため、貞胤は下総での戦いを有利に進め、胤貞の本拠地である千田荘の土橋城を攻略しました。

その後も貞胤は新田義貞の軍に属し、足利軍と戦い続けました。しかし、建武3年（1336年）1月16日には、丹波国志賀郷で嫡男の一胤が足利軍の細川定禅によって討ち取られてしまいます。一時、義貞軍は足利軍を九州に追い詰めるものの、足利軍は反撃に転じ、貞胤も恒良親王を擁して北国へ落ち延びることになります。

延元元年/建武3年（1336年）10月、吹雪の越前国木芽峠で義貞軍とはぐれ道に迷った貞胤は、やむなく足利方（斯波高経）に降伏します。しかし、その直後、11月19日に従兄の胤貞が急死したため、貞胤は北朝方に寝返り、下総守護の地位を安堵されました。その後、貞胤は北朝方として京と下総を往復し、正平3年/貞和4年（1348年）8月には、四條畷で楠木正行らと戦い、戦功を挙げました。

正平6年/観応2年（1351年）1月1日、貞胤は61歳で京にて亡くなりました。彼の死後、次男の氏胤が家督を継ぐこととなりました。貞胤の生涯は、鎌倉幕府の滅亡から南北朝の動乱という激動の時代を象徴するものであり、その決断と行動は、後世に多くの教訓と歴史的興味を与えています。

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