千葉荘

千葉荘について

千葉荘は、中世に下総国千葉郡（現在の千葉県千葉市中央区とその周辺）に存在した荘園です。『吾妻鏡』によると、平安時代末期の元永年間（1118年 - 1120年）に、「千葉大夫」と称された平常兼、またはその子である常重が開発領主として開いたとされています。開発後、鳥羽院に献上され、平常兼（または常重）は同荘の検非違所になったと推測されています。

千葉氏の拠点

その後、鳥羽院の娘である八条院に継承され、荘官として同荘を支配した平常重は、大治元年（1126年）に荘内の池田郷に亥鼻城（千葉城）を築き、上総国山辺郡の大椎館から拠点を移しました。これが千葉氏の祖となりました。ただし、初期の千葉氏は亥鼻城とは別に近くの平地に居館を設けていたとする説もあります。

亥鼻城から突き出た砂嘴上に千葉の町の原型が築かれ、南端に亥鼻城、北端に尊光院（後の千葉妙見宮、現在の千葉神社）が設けられました。両者をつなぐ参道沿いに町が形成され、参道はそのまま東海道とつながっていたと推測されています。この都市計画は、後の鎌倉の都市計画にも影響を与えたとする説もあります。

荘園の規模

建久年間に作成されたとみられる「香取社遷宮用途注進状」には、千葉荘が300斛の負担をしていたことが記されています。また、同文書に80斛の負担をしていた船橋御厨が200町の面積があったことから、千葉荘はおよそ750町（約7.438km2）の面積を有していたと推定されています。現在の千葉市中央部にあたり、都川流域の池田郷、千葉郷、三枝郷、糟○郷の4郷を中心としていました。

その後の千葉荘

鎌倉時代になると、千葉氏は下総国の守護職とともに千葉荘の地頭職を獲得し、千葉荘は請所とされて千葉氏の支配が確立しました。後世になると、南北に分割されて「千葉北荘」「千葉南荘」と呼ばれるようになったとされています。荘内には、千葉妙見宮や千葉寺など多くの寺社が存在し、千葉氏の手厚い保護を受けて栄え、下総国守護となった千葉氏の拠点として発展しました。

荘内の史跡

千葉荘には、以下のような史跡が存在しています。

亥鼻城
高品城
城ノ腰城 (下総国)
千葉神社
千葉寺
大日寺 (千葉市)
宗胤寺
栄福寺 (千葉市)

まとめ

千葉荘は、中世の下総国における重要な荘園であり、千葉氏の興隆と発展に大きく貢献しました。多くの史跡が残されており、当時の歴史を今に伝えています。

参考資料

岡田清一「千葉荘」（『国史大辞典 9』、吉川弘文館、1988年）
段木一行「千葉荘」（『平安時代史事典』、角川書店、1994年）

関連項目

* 八条院領

もう一度検索