南アフリカ共和国の政党

南アフリカ共和国の政党

南アフリカ共和国における政党について解説します。

南アフリカの政党制

アパルトヘイト（人種隔離政策）廃止後の南アフリカでは、国民党とアフリカ民族会議（ANC）が有力な政党として存在感を示していました。しかし、人口の大多数を占める黒人層からの圧倒的な支持を得たANCが政権与党として継続し、結果として民主主義国家でありながらも、ANCによる一党優位政党制の状態が長く続いています。

2004年の総選挙では、ANCは7割近い得票率で圧勝しましたが、その後の選挙では経済の停滞や高い失業率を背景に得票率が徐々に低下。2019年の総選挙では57.50%と6割を割り込み、2024年の総選挙では40.18%と過半数を下回る結果となりました。これにより、ANCは与党としての立場を維持したものの、民主同盟（DA）との連立政権を組むこととなりました（2024年6月14日時点）。

憲法改正には、国会議員の3分の2以上の賛成が必要となるため、ANCは憲法改正を実現するためには、連立与党だけでなく他党との協力も不可欠となっています。

主要政党としては、ANCの他に、アパルトヘイトに反対していた白人リベラル政党を起源とする民主同盟（DA）、汚職問題で大統領を辞任したジェイコブ・ズマによって2023年12月に設立された民族の槍（MK）、そしてジュリアス・マレマを始めとするANCを除名されたメンバーによって2013年7月に結成された経済的解放の戦士（EFF）の4党が存在します。ANCは全人口の8割を占める黒人層の大部分から、DAは白人層とカラード（混血の社会層）からそれぞれ強い支持を受けていますが、MKとEFFはANCと支持基盤が競合する関係にあります。

議会に議席を有する政党（2024年5月29日総選挙後）

アフリカ・キリスト教民主党 (ACDP): 社会保守主義、中道右派
アクションSA (ActionSA): 中道右派、古典的自由主義、リバタリアニズム
アフリカ独立会議 (AIC)
アフリカ民族会議 (ANC): 民主社会主義、左翼民族主義
アフリカ変革運動 (ATM): 右翼、キリスト教民主主義
アル・ジャマア (ALJAMA): イスラム主義、イスラム教民主主義
南アフリカをひとつに (BOSA): リベラリズム
国民会議 (COPE): 進歩主義、中道左派
民主同盟 (DA): 中道、社会自由主義
経済的解放の闘士 (EFF): 極左、マルクス・レーニン主義
自由戦線プラス (FF+): 右翼
グッド (GOOD): 社会民主主義、環境主義
インカタ自由党 (IFP): ポピュリズム、中道主義
民族の槍 (MK): 左派ポピュリズム、ズールー民族主義
パンアフリカニスト会議 (PAC): 汎アフリカ主義、左翼民族主義
ライズ・ムザンシ (RISE): 社会民主主義
統一民主運動 (UDM): 社会民主主義、中道左派

その他の政党

上記以外にも、議席を持たない多数の政党が存在します。

アフリカ人民会議 (APC)
アザニア人民機構 (AZAPO)
南アフリカ緑の党 (GPSA)
国民自由党 (NFP)
統一キリスト教民主党 (UCDP)

など、多岐にわたる政治思想・信条を持つ政党が活動しています。

かつて存在した政党

アフリカーナー統一運動 (AEB)
民主党 (DP)
独立民主同盟 (ID)
国民党 (NP)

関連項目

* 南アフリカの自由主義

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