南昌蜂起

南昌蜂起（南昌起義、南昌暴動）

南昌蜂起は、1927年8月1日に中国共産党が江西省南昌で起こした武装蜂起です。当時、中国国民党からの共産党分離が進む中、共産党が独自の軍事力を持つ必要に迫られ、その端緒となった事件です。現在の中華人民共和国では、この蜂起を記念して8月1日を建軍記念日としています。

背景

1927年4月の上海クーデター後、蔣介石が中国国民党からの共産党分離を決定。これにより、共産党は国民党内部に存在していた党員たちが粛清される事態に直面しました。共産党は独自の軍事力を持たず、国民党内部の武力を一部接収する形で武装化を進めようと試みました。

経緯

共産党は、当時北伐軍が駐留する都市の中で、比較的警備が手薄であった南昌に着目しました。さらに、南昌の公安局長が朱徳であったことも好都合でした。中国共産党は周恩来を首班とする前敵委員会を組織し、蜂起を計画しました。
当初は7月30日に決起する予定でしたが、張国燾が時期尚早であると主張し強く反対。しかし、周恩来は張国燾を懐柔し、決起後も国民革命軍第2方面軍の認識番号を継続使用すること、また、聯ソ・聯共・扶助工農を目的とし、自ら共産党軍を名乗ることはしないという妥協案を示し、再度8月1日を決起日と定めました。

蜂起の実行

8月1日、反乱部隊は決行し、ほぼ午前中に南昌を掌握しました。当時の国民革命軍第2方面軍の約4割にあたる約2万名が反乱に参加しました。

南昌掌握後、反乱軍は部隊の再編を行いました。しかし、各軍の兵員数は不均衡であり、特に新第9軍は寄せ集め部隊でした。再編された反乱軍は、8月5日に当初の方針通り広東方面に南下を開始しましたが、部隊の寝返りや脱走が相次ぎました。会昌で国民党側と戦闘を行い撃退したものの、味方も多数の死傷者を出し消耗しました。

反乱軍は汕頭、潮州到着時に、党中央が広州攻略を目指す当初の方針を変更したことを知りました。国民党軍との戦闘で敗北し、最終的に陸豊、海豊にたどり着いたのはごく一部の兵士のみでした。彼らは彭湃らの共産党員と合流して、海豊・陸豊ソヴィエトを作りました。

三河堰に残った朱徳の部隊は、国民党軍から攻撃を受け西北方面に撤退。その後、雲南軍閥時代の友人で国民党側の将軍范石生を頼り投降。その後再び国民党側を離反し勢力を拡大。井崗山で毛沢東の軍と合流することとなります。

広州蜂起とその後

1927年12月11日、共産党は広州で武装蜂起を決行しましたが、これは失敗に終わりました。この事件がソ連の広東総領事館によって計画指揮されたことが判明したため、南京政府はソ連と国交を断絶しました。

評価と影響

中国共産党は後に8月1日を建軍記念日とし、紅軍・八路軍・人民解放軍を通じて祝日となっています。中国人民解放軍の軍旗や軍服の帽章に描かれている「八一」の文字は、この南昌蜂起の日、すなわち建軍記念日に由来します。

南昌蜂起は、中国共産党が初めて独自の軍事力を行使した事件であり、その後の中国革命に大きな影響を与えました。

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