南紀 (列車)

特急「南紀」について

特急「南紀」は、JR東海とJR西日本が共同で運行する特急列車で、名古屋駅と新宮駅または紀伊勝浦駅の間を、関西本線、伊勢線、紀勢本線を経由して結んでいます。この列車は、紀伊半島の美しい海岸線に沿って走るため、車窓からの景色も楽しむことができます。

概要

「南紀」の運行開始は1978年10月2日。紀勢本線の電化完成に伴い、旧「くろしお」の運転区間が分割された際に、名古屋駅と紀伊勝浦駅間を結ぶ特急列車として新設されました。これにより、三重県内での「くろしお」の運行は終了しました。

列車名の由来

列車名の「南紀」は、紀伊半島の南部地域を指す言葉に由来しています。かつては「（ワイドビュー）南紀」として運行されていましたが、2022年3月のダイヤ改正で「ワイドビュー」の名称が外され、「南紀」として運行されています。

運行概況

2022年3月12日現在、「南紀」は名古屋駅 - 紀伊勝浦駅間に3往復、名古屋駅 - 新宮駅間に1往復の計4往復が運行されています。また、多客時には臨時列車が2往復運転されます。列車番号は3001Dから3008Dで、下り列車が奇数、上り列車が偶数で示されます。臨時列車は8001Dから8004Dの番号が使用されます。

停車駅

「南紀」の主な停車駅は、以下の通りです。

名古屋駅 - 桑名駅 - 四日市駅 - 鈴鹿駅 - 津駅 - 松阪駅 - 多気駅 - 三瀬谷駅 - 紀伊長島駅 - 尾鷲駅 - 熊野市駅 - 新宮駅 - 紀伊勝浦駅

この他にも、沿線でイベントが開催される際には、臨時停車する駅があります。

使用車両と編成

2023年7月1日から、「南紀」はHC85系気動車（D100編成）で運行されています。以前は、キハ82系気動車やキハ85系気動車が使用されていました。通常は2両編成で、1両は自由席です。繁忙期には4両編成で運行され、3・4号車は指定席となります。また、繁忙期にはD200編成が使用される場合があり、この場合、3号車に車いす対応座席が設置されています。 キハ85系が登場した当初は、全席グリーン車のキロ85形が使用されていましたが、需要の変化により、編成が見直され、グリーン車は廃止されました。

臨時列車

鈴鹿グランプリ

鈴鹿サーキットでF1日本グランプリが開催される週末には、臨時特急「鈴鹿グランプリ」が名古屋駅 - 鈴鹿サーキット稲生駅間で運行されます。かつては「鈴鹿F1」という名称で運行されていました。2024年からは名古屋駅 - 鈴鹿サーキット稲生駅間ノンストップとなり、全車指定席となることが多いです。運行本数は年によって変動します。

熊野大花火大会関連

毎年8月17日の熊野大花火大会の開催日には、臨時特急「熊野大花火」が運行されます。過去には急行列車も運行されていましたが、2023年にはグリーン車付きのHC85系が使用された便も運行されました。2024年は名古屋駅と熊野市駅間で複数の臨時列車が運行され、指定席特急券は乗車日の1ヶ月前から発売されています。

運賃と料金

「南紀」の特急料金は、1992年3月からA特急料金に変更され、以前よりも割高になりました。ただし、名古屋駅 - 新宮駅間には特定特急料金が設定されており、一定区間では割安な料金で利用できます。伊勢鉄道区間を含む場合は、運賃と料金計算に伊勢鉄道の料金が加算されます。名古屋駅 - 四日市駅間と新宮駅 - 紀伊勝浦駅間では、ICカードも利用可能です。

紀勢本線新宮駅以東の優等列車沿革

紀勢本線全通後、様々な優等列車が運行されました。1959年には、準急「くまの」が天王寺駅 - 名古屋駅間で運行を開始し、夜行準急「うしお」や急行「那智」も登場しました。その後、「くまの」は「紀州」に改称され、様々な列車が運行されました。
1978年には、「くろしお」の分割により「南紀」が誕生しました。その後も、列車の名称変更や編成見直し、運転区間の変更などが度々行われました。1992年には使用車両がキハ85系に変更され、所要時間が短縮されました。2023年にはHC85系が導入され、現在に至ります。

近年の動き

2000年代に入ると、「南紀」は運行形態が変化し、グリーン車の連結が多客期のみになったり、その後再び連結されたり、そして最終的には廃止されたりしました。2022年には、列車名から「ワイドビュー」が削除されました。2023年には新型車両HC85系が導入され、2024年には新宮 - 紀伊勝浦間でワンマン運転が開始されました。

「南紀」は、時代の変化に合わせてその姿を変えながら、現在も多くの人々に利用されています。

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