南西航空方面隊

南西航空方面隊について

南西航空方面隊は、航空自衛隊の4つある航空方面隊の一つで、沖縄県那覇市の那覇基地に司令部を構えています。この方面隊の主な任務は、沖縄・南西諸島地域の防空です。具体的には、この地域における領空侵犯への対応や、東シナ海・太平洋方面に対する要撃など、日本の空の安全を守る上で重要な役割を担っています。

概要

南西航空方面隊は、航空総隊司令官の指揮下に入り、他の航空方面隊と比較して規模は小さいながらも、精鋭部隊で構成されています。その中心となるのは第9航空団で、その他に南西航空警戒管制団（固定レーダーサイトを持つ4個警戒隊と1個移動警戒隊）、南西高射群などが配備されています。これらの部隊が連携し、沖縄・南西諸島地域の空の安全を確保しています。

歴史

南西航空方面隊の前身は、1973年に編成された南西航空混成団です。当時は航空自衛隊で唯一の航空混成団でした。2010年代に入り、南西方面の防衛力強化の必要性が高まり、戦闘機部隊が倍増しました。この増強に対応するため、2017年 7月1日に南西航空混成団は南西航空方面隊へと昇格しました。

編成

南西航空方面隊は、以下の部隊で構成されています。

南西航空方面隊司令部: 那覇基地に所在し、方面隊全体の指揮を執ります。
第9航空団: 那覇基地に所在し、戦闘機部隊を主体とする航空団です。
南西航空警戒管制団: 那覇基地に所在し、レーダーサイトなどを運用して空域監視を行います。
南西高射群: 那覇基地に所在し、地対空ミサイルなどを運用して防空を行います。
南西航空施設隊: 那覇基地に所在し、基地の施設維持や整備を行います。
南西航空音楽隊: 那覇基地に所在し、音楽演奏を通じて隊員の士気高揚や広報活動を行います。

主な出来事

1. 沖縄返還と部隊編成: 1972年の沖縄返還に伴い、臨時那覇施設管理隊や臨時那覇派遣隊が編成されました。その後、臨時那覇基地隊や臨時第83航空隊などが編成され、西部航空方面隊の指揮下で活動を開始しました。
2. F-104J戦闘機の配備: 1972年11月には、F-104J戦闘機が臨時第83航空隊に配備され、領空侵犯への対応が始まりました。
3. 南西航空混成団の編成: 1973年10月には、南西航空混成団が編成されました。この混成団には、第83航空隊や南西航空警戒管制隊、第5高射群などが含まれていました。
4. 那覇基地隊の廃止と基地業務群の新編: 1984年には那覇基地隊が廃止され、第83航空隊基地業務群が新編されました。
5. 南西航空音楽隊の新編: 1985年には南西航空音楽隊が新編されました。
6. 司令部組織の改編: 1999年には司令部組織が改編され、副司令職が新設されました。また、監理部と人事部が統合され、総務部が新設されました。
7. 第83航空隊の改編: 2016年には第83航空隊が2個飛行隊編成となり、第9航空団に改編されました。
8. 南西航空方面隊への改編: 2017年 7月1日に、南西航空混成団が南西航空方面隊に昇格しました。同時に、南西航空警戒管制隊が南西航空警戒管制団に格上げされました。
9. 高射群の改称: 2023年には、第5高射群が南西高射群に改称されました。

領空侵犯への警告射撃

1987年には、旧ソ連の偵察機Tu-16が沖縄本島上空を領空侵犯しました。この際、南西航空混成団の作戦指揮所の指示の下、第302飛行隊所属のF-4EJ戦闘機が自衛隊史上初となる警告射撃を実施しました。この事件は、「対ソ連軍[[領空侵犯機警告射撃事件]]」として知られています。

南西航空方面隊の重要性

南西航空方面隊は、日本の防衛において最前線に位置する部隊の一つです。沖縄・南西諸島地域の防空を担当し、東シナ海や太平洋方面への対応も担うことから、その役割は非常に重要です。近年では、中国の海洋進出などの安全保障環境の変化に伴い、南西方面の防衛力強化が求められており、南西航空方面隊はますます重要な存在となっています。

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