南部地方

南部地方の概要

南部地方（なんぶちほう）は、江戸時代に南部氏の所領として知られた地域で、「南部」とも呼ばれています。この地域は、明治維新以前の陸奥国の北部を占め、近年の都道府県で言うと青森県の東半分、岩手県の北部と中部、さらに秋田県の北東部の一部にまたがる広大なエリアです。

歴史的背景

南部氏は戦国時代に青森県全域と岩手県の中部及び北部を所領としていました。しかし、戦国末期には一族の津軽氏が反乱を起こし、青森県の西半分を占有し独立。その後、津軽藩として知られるようになりました。このため、津軽藩の地域は南部地方には含まれません。江戸時代には南部氏の支配下にあった地域は「南部藩」として統一されました。1685年には八戸周辺が南部氏の分家によって治められ、八戸藩が成立します。また、他の南部藩は1817年に盛岡藩に改称され、盛岡藩内には支藩として七戸藩が存在しました。このように、南部氏の治める地域全体を指して南部地方と呼ぶことが一般的です。

範囲と区分

江戸時代の伝統的な範囲と区分について説明しますと、南部地方は大きく分けて小南部（こなんぶ）と大南部（おおなんぶ）に分類され、その境界は現在の青森県と岩手県の県境に一致します。

• - 小南部・古南部：青森県三戸郡、上北郡、下北郡を含み、その中心都市は八戸です。八戸は南部地方の文化や経済の中心地として重要な役割を果たしてきました。

• - 大南部・新南部：岩手県の岩手郡、閉伊郡、二戸郡、九戸郡、和賀郡、秋田県鹿角郡が該当し、その中心都市は盛岡です。盛岡は、南部流の郷土料理や伝統的な工芸品が多く存在する地域でもあります。

南部にちなんだ言葉

南部地方に関連する言葉も多々存在します。例えば、南部弁はこの地域特有の方言で、南部人は南部地方出身の人々を指します。また、南部鉄器は地域の伝統的な工芸品であり、南部焼きは肉や魚にゴマをつけて焼いた料理として親しまれています。

さらに、南部富士と呼ばれるのは岩手山のことであり、南部三山は岩手山と早池峰山、姫神岳の三つの山を指します。南部バスは岩手県北自動車の南部支社のブランド名で、地域の交通にも貢献しています。ただし、南部拳銃の「南部」は人名であり、この地域とは直接の関係はありません。

関連項目

最後に、南部地方と津軽地方は地域的にも文化的にも興味深い関連性を持っています。東北地方の歴史や文化を理解する上で、南部地方は欠かせない地域の一つです。

もう一度検索