南部縦貫鉄道キハ10形気動車

南部縦貫鉄道キハ10形気動車

南部縦貫鉄道キハ10形気動車は、南部縦貫鉄道が運用していた気動車系列であり、同鉄道線の開業時に製造された車両を含む多様な車両群から構成されていました。大別すると、開業時に新製されたキハ101およびキハ102、開業後に予備車として導入されたキハ103、国鉄から譲り受けたキハ104の、合計4両が存在しましたが、それぞれは異なる設計理念に基づいて製造されたため、共通点はほとんどありませんでした。

キハ101とキハ102

キハ101とキハ102は、1962年に宇都宮に位置する富士重工業で製造され、地方私鉄向けの小型気動車として登場しました。これらの車両は、バスの車体工法を用いた「レールバス」と呼ばれるものであり、比較的シンプルな構造を特徴としていました。車体は、当時のバスシャシメーカーのボディが用いられ、モノコック構造を採用しており、乗降口にはバスの折り戸が設けられていました。窓配置は上段がHゴム固定式、下段は上昇式のバス窓が並ぶ設計で、色合いはクリーム色の上半分とオレンジ色の下半分に白い帯が加わった特徴的なものでした。

走行装置は二軸式で、動力源には日野製のディーゼルエンジンが搭載されていました。また、機械式の動力伝達システムを採用しており、運転席ではクラッチペダルを使って変速を行う構造となっています。積雪地での運用を考慮し、前面下部にはスノープラウが装備されていました。さらに、自動車用の電気笛が設置されており、車両の使用においても配慮が見られました。

運用と功績

開業当初から1997年まで、このキハ10形気動車は南部縦貫鉄道線の主力として活躍し続けました。普段はバス車両として用いられる構造であるにもかかわらず、耐久性に優れ、約35年間にわたって運用された実績を持ちます。特に定員の制限がかけられていた後期の運用でも、内部のロングシートが多くの乗客を収容する役割を果たしました。さらに1996年には特に優れた車両に贈られるエバーグリーン賞を受賞しており、その存在価値が評価されていました。

今日は休止中ながらも、旧七戸駅構内で動態保存されており、その姿を目にすることができます。

諸元

• - 車体寸法: 10,296 mm × 2,600 mm × 3,165 mm
• - 自重: 9.6 t
• - 機関: 日野DS90（106 PS / 2,000 rpm）×1
• - 動力伝達方式: 機械式
• - 定員: 60人（座席27人）

キハ103

キハ103は、1962年11月に常総筑波鉄道から譲り受けた車両で、実際の製造は1937年に遡ります。この車両もまた、譲渡された際にはキハ101、102と同じ塗装に維持されましたが、運用が予備的であったため、主要な役割を果たすことはなく、1980年に廃車とされました。個性的なデザインと仕様は当時の鉄道技術を反映しており、後の鉄道車両にも影響を与えたかもしれません。

諸元

• - 車体寸法: 12,440 mm × 2,720 mm × 3,760 mm
• - 自重: 15.5 t
• - 機関: 日野DS11 ×1
• - 動力伝達方式: 液体式
• - 定員: 80人（座席38人）

キハ104

キハ104は、1980年に国鉄から譲り受けた車両で、開業時の概要を踏まえた大きな設計のもと、ラッシュアワー時の利用に対応するために使用されていましたが、冬季には暖地仕様が障害とし、利用者の減少とも相まって、あまり活躍しない時期がありました。最後には、キハ101・102の運用の続行として再導入されました。

終わりに

南部縦貫鉄道キハ10形気動車は、ただの輸送手段以上のものであり、地域の交通における重要な役割を果たしてきた歴史的存在です。その多様性と技術的な特性は、鉄道運営の中でも際立ったものとなり、今後もその価値は損なわれることはないでしょう。

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