博多湾鉄道汽船コハフ1形客車
博多湾鉄道汽船コハフ1形客車
博多湾鉄道汽船コハフ1形客車は、1935年に西日本鉄道の前身事業者である博多湾鉄道汽船によって導入された客車です。この車両は、大阪電気軌道が所有していた木造の電車から不要となった車体を再利用して製造されたもので、外観が異なる2種の旧車体を用いています。
優れた再利用の例
コハフ1形の導入は、大阪電気軌道（現・近畿日本鉄道）が運用していたデボ61形とデボ201形という2つの木造電車の車体鋼体化に伴うものでした。これにより不要になった車両のうち、デボ61形からは5両、デボ201形からは3両の車体が博多湾鉄道汽船に譲渡され、それらを改造してコハフ1形1 - 8が完成しました。
この時、コハフ1・5 - 8はデボ61形の流用車体を、コハフ2 - 4はデボ201形の流用車体を使用しています。デボ61形は丸みを帯びた「タマゴ形」と呼ばれる特徴的な外観を持ちながら、デボ201形は平坦な外観で、これらの違いはコハフ1形の車両外観にも明確に反映されていました。
電動車化とその後
後年、コハフ1 - 3の車両は電動車化改造が施され、これによりそれぞれデハ10形の後継車として新たに改番されました。コハフ5 - 8は制御車または付随車に改造され、特にコハフ5・7・8は制御車ク50形として再編成され、コハフ6は付随車サ50形として編成に加えられました。
1942年には、西日本鉄道が成立し、車両の記号と番号の改訂が行われました。この際、電動車のデハ12はモ1形に、デハ14と15はモ10形にそれぞれ改番されました。また、元の客車として残っていたコハフ4も電動車に改造され、モ13と再度改称されました。
さらなる改造と廃車
1950年代には、ク52（初代）が事故で廃車となり、さらにモ3も1960年に休車、1961年にはク52（2代目）としての改番が行われました。ク53は1963年に手続き上で廃車扱いとなり、当時の車両は次第にその役目を終えていきました。
1961年から1963年にかけて、九州車両による鋼体化改造が進められました。ク51・54についてはそのままの番号で鋼体化が実施され、他の車両も新しい屋根構造や車体形状に生まれ変わりました。特に、鋼体化改造によって側窓の構造が改良され、より実用的なバス窓が採用されました。
最後の役割と廃車
1978年から1980年にかけて、大牟田線からの新しい車両が転属し、これに伴ってコハフ1形の全ての車両は1981年までに廃車となりました。コハフ1形客車は一時代を築き、その設計や運用がその後の鉄道車両にとって重要な試金石となったことは間違いありません。
参考文献
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