原口要

原口要：日本の鉄道と都市計画を支えた先駆者

原口要（はらぐち かなめ）は、嘉永4年（1851年）に生まれ、昭和2年（1927年）に没した、日本の鉄道技術者、都市計画技術者、実業家であり、また漢詩を嗜む詩人でもありました。号は龍水。

生涯

肥前国（現在の長崎県）に生まれた原口は、幼少期に漢学を修め、その後、藩命により上京。大学南校、開成学校で英学を学びました。明治8年（1875年）にはアメリカに留学し、レンセラー工科大学で土木工学を修めました。

アメリカでの経験

レンセラー工科大学卒業後、原口はデラウエァア橋梁会社で橋梁工事に携わり、その後ペンシルベニア鉄道会社に移籍。鉄道建設の実務経験を積みました。これらの経験が、帰国後の原口の活動に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

帰国後の活躍

明治13年（1880年）に帰国した原口は、東京府御用掛として、東京の都市基盤整備に尽力します。上下水道の整備改良、品川湾改修計画、そして、現在も隅田川、日本橋川に架かる吾妻橋、鎧橋の設計など、その業績は多岐にわたります。

明治16年（1883年）からは工部省鉄道局技師を兼務し、鉄道技術者として本格的に活動を開始。各地の鉄道建設に携わりました。退官後は民間企業の取締役や、清国、台湾で鉄道顧問を務め、海外の鉄道事業にも貢献しました。

日本初の工学博士

明治22年（1889年）には、日本で初めて工学博士の学位を授与されました。これは、原口の卓越した技術力と知識が認められた証と言えるでしょう。同時に博士号を授与されたのは、古市公威、松本荘一郎、志田林三郎、長谷川芳之助という錚々たるメンバーでした。

その他の主な事績

日本鉄道会社 品川・赤羽間工事担当（品川・新宿間）
横浜・沼津間の測量および工事担当
甲武鉄道会社線 新宿・八王子間工事統理
神戸建築課長兼汽車課長
日清戦争の輸送業務
広島宇品間軍用鉄道改良工事監督
博多湾鉄道 取締役
帝国鉄道協会 理事、副会長
* 神戸有馬電気鉄道 監査役

栄典

原口の功績は、位階や勲章にも表れています。正四位勲三等瑞宝章を受章。

晩年

晩年は、富士製紙株式会社取締役や神戸有馬電気鉄道監査役などを務めました。昭和2年（1927年）に病没。青山霊園に眠っています。

原口要は、日本の近代化を支えた技術者の一人として、その名は長く記憶されることでしょう。彼の設計した橋梁は、今もなお、東京の風景の一部として存在し続けています。

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