原子力打撃巡洋艦

原子力打撃巡洋艦（CSGN）

原子力打撃巡洋艦、英語ではストライククルーザー（CSGN）は、アメリカ海軍が計画していた次世代の原子力ミサイル艦に属する艦級です。この艦は、強力な大型水上戦闘艦として設計されており、最新のイージスシステムを搭載する予定でした。しかし、コスト面での問題などが影響し、最終的にはキャンセルされる運命を辿りました。代わりに、CSGNの要素を取り入れたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦が建造されることになりました。

来歴

第二次世界大戦の終結後、アメリカ海軍は艦隊の防空能力を強化するため、艦対空ミサイルの開発に着手しました。特に1950年代には、空中脅威が増加する中で、3種の防空システム（テリア、タロス、ターター）が相次いで導入されました。しかし、次世代システムの開発は困難を極め、1963年に予定されていたタイフォンシステムの開発は中止になりました。しかし、このプロセスで得られた知見が後のスタンダードミサイルの開発に繋がったのです。

その後、1963年には先進水上ミサイル・システム（ASMS）計画が始まり、1969年にはこれがイージス計画に改称されました。この計画は、特に冷戦下において進行中のソビエト連邦の軍事的動向を受け、高度な防空能力を持つ艦艇の開発を急務とされました。1970年代には、いくつかの新型艦のプロジェクトが始まりましたが、様々な変更を経て最終的に原子力打撃巡洋艦に焦点が当てられることになりました。

設計

CSGNは当初、排水量の削減が重視される設計方針でしたが、後に特有の推進機関を搭載することで30ノットの速力を確保する変更が行われました。これに伴い、艦体は次第に巡洋艦に近い大型化が進み、ミサイル駆逐艦と呼ぶには大きすぎるものとなったのです。さらに、艦の運用可能性を考慮し、機動性や抗堪性を高めるために、安全性の高い配置が採用されました。

主要な装備には、イージスシステムが前提とされ、AN/SPY-1|AN_SPY-1多機能レーダーが搭載される予定でした。これにより、艦は多様な脅威に対処できる能力を持つはずでした。また、艦砲や多様なミサイルを搭載し、艦載機もヘリコプターを含む数機を運用する計画でした。特にCSGN Mk.IIでは軽空母機能も付与される案が出るなど、多用途向けの設計が進められていました。

計画の中止

最終的にCSGNはその高コストが問題視され、再考の結果、その計画は中止されることとなりました。代わりに、ズムウォルト提案のようなガスタービン駆動の艦が模索され、また、CSGNに替わる新しい設計案が提案されましたが、1978年度には建造計画が大幅に削減されることになり、最終的には1隻の建造も中止されました。そして、CSGNに代わる形で、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の建造が始まり、アメリカ海軍の水上戦闘艦隊には新たな戦力となるべく生まれ変わることになります。

このように、原子力打撃巡洋艦（CSGN）計画は、技術や設計理念の進化を促し、多くの教訓を生む結果につながりました。

もう一度検索