厳島神社 (京都市上京区)

京都御苑の静寂に佇む厳島神社：歴史と文化の交差点

厳島神社は、京都市上京区、京都御苑内にひっそりと佇む神社です。堺町御門の西側、九条池の中島に鎮座し、「池の弁天さん」として地元の人々に親しまれています。かつては無格社でありましたが、その歴史と文化的な価値は計り知れません。

祭神：宗像三女神と祇園女御

主祭神は、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命という宗像三女神です。この三女神は、海の神様として古くから信仰を集めてきました。また、祇園女御も配祀されています。祇園女御は、元々は平清盛の母の霊であったと考えられていますが、後に清盛の伯母である祇園女御に変えられたようです。

由緒：平清盛との繋がり

厳島神社の社伝によれば、安芸国（現在の広島県）の厳島神社を深く崇敬していた平清盛が、摂津国（現在の大阪府）の兵庫津に経が島を造成した際、その島に厳島神社を勧請したのが始まりとされています。その後、清盛の母の霊を合祀し、時期は不明ながら当地へ遷座されたと伝えられています。鎮座地は、後世に九条家の邸宅に取り込まれ、同家の鎮守として崇敬されるとともに、池泉廻遊式庭園の一部を構成するようになりました。明治時代になり、九条家が東京へ転宅する際、邸宅も東京へ移築されましたが、厳島神社はそのまま残されました。昭和2年（1927年）には社殿が改築されています。

現在の景観については、厳島神社が当初から池の中島に鎮座していたかは定かではありません。しかし、社前の鳥居が移築された明和8年（1771年）には池が穿たれていたことから、少なくともその頃までには遡ることができるでしょう。社前に至る擬宝珠欄干付きの「高倉橋」は、九条家移築後に架橋されたものとされています。

祭祀：6月15日の例祭

往古は7月15日を祭日としていましたが、現在は6月15日が例祭日となっています。この日には、地域の住民や崇敬者が集まり、神事が執り行われます。

文化財：唐破風鳥居

厳島神社の鳥居は、花崗岩製で、笠木と島木が唐破風形式であることから「唐破風鳥居」と称され、重要美術品に指定されています。北野天満宮境内社の伴氏社の石造鳥居、木嶋坐天照御魂神社の三柱鳥居と合わせて「京都三鳥居」「京都三珍鳥居」とされています。この鳥居は、元々は兵庫築島に建っていたものでしたが、室町時代後期に足利義晴が細川高国邸へ移築し、明和8年に九条道前が幕府に願い出て現在地へ再移築されたという経緯を持っています。京都所司代が交替する度に検査される定めであったと伝えられています。昭和13年6月22日に重要美術品に認定されました。

厳島神社は、その静かで美しい景観の中に、豊かな歴史と文化を秘めています。京都御苑を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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