友利結

プロ野球選手 友利結（デニー友利）の軌跡

友利結（ともり ゆい、1967年9月21日 - ）は、沖縄県浦添市出身の元プロ野球選手であり、現在は指導者やスカウトとして活躍しています。現役時代は、その登録名「デニー友利」としても広く知られています。

プロ入り前

1967年、沖縄県で生まれた友利は、小学生時代から野球を始め、一貫して投手としてプレーしました。興南高等学校に進学すると、名幸一明（現・NPB審判員）とバッテリーを組みましたが、チームのエースというわけではなく、複数の投手とローテーションを組んでいました。1985年秋の九州大会県予選決勝では、リリーフとして登板するも、沖縄水産高校に惜敗。翌年の夏の甲子園県予選でも決勝に進出しましたが、再び沖縄水産高校に敗れ、甲子園への出場は叶いませんでした。

横浜大洋ホエールズ、横浜ベイスターズ時代

1986年のドラフト会議で、横浜大洋ホエールズから1位指名を受けてプロ入り。背番号は30に決定しました。プロ入り前には松下電器野球部への入団が内定しており、後にチームメイトとなる潮崎哲也や原井和也とは、入団前から面識がありました。

1987年、ルーキーながらシーズン終盤に初登板、初先発を果たしました。プロ入り当初から高い身体能力と球威が評価され、首脳陣の期待も大きく、アリゾナ教育リーグやパイオニアリーグへの野球留学も経験。しかし、制球難に苦しみ、なかなか結果を出すことができませんでした。一時、任意引退の手続きを取り「練習生」となった時期もありました。

1993年、チームが横浜ベイスターズに名称変更した際、投球フォームをサイドスローに変更。これが転機となり、長年の課題であった制球力が改善され、潜在能力を開花させました。

1995年には、登録名を「デニー友利」に変更。同年9月3日の対中日戦で、1年5ヶ月ぶりの一軍先発登板で7回無失点の好投をみせましたが、8回に同点に追いつかれ初勝利はお預けとなりました。しかし、10月6日の対阪神戦で、8回に4番手として登板し無失点で抑えると、9回にチームが逆転し、入団9年目にしてプロ初勝利を挙げました。翌日の対中日戦では3番手として登板し、3イニングを無失点に抑え、プロ初セーブも記録しました。

西武ライオンズ時代

1996年オフ、当時の西武ライオンズ監督であった東尾修の要望と、本人の出場機会を求めるトレード志願が合致し、長見賢司との交換トレードで西武ライオンズへ移籍しました。登録名は「デニー」となりました。

1997年には、同じサイドスローの鹿取義隆や潮崎哲也からのアドバイスを受け、才能を再び開花させ、中継ぎ投手としてチームに貢献。当時の東尾監督からは、「コントロールに自信を持つな、全力で腕を振れ」と指導を受け、ピッチングのコツを掴みました。潮崎の先発転向や鹿取の怪我による離脱もあり、右サイドスローの中継ぎとしてチームに欠かせない存在となり、1998年のリーグ連覇にも大きく貢献しました（同年のチーム最多セーブを記録）。

同年にはオールスターゲームにも初出場。日本シリーズでは古巣である横浜ベイスターズと対戦し、元同僚からの声援に応える形で好投を見せました。以降も年間平均50試合に登板し、チームの戦力面・精神面での支柱となりました。

2002年にはチームの選手会長を務めましたが、中継ぎ投手陣の不調や酷使にもかかわらず、ほとんど登板機会がありませんでした。一部では、この年から監督に就任した伊原春樹や投手コーチの松沼博久との不仲も噂されました。夏以降は日本シリーズを見据えて調整していたものの、日本シリーズの出場有資格リストからも外れました。

2002年オフには、前田和之との交換トレードで古巣である横浜ベイスターズに復帰しました。

横浜ベイスターズ復帰、そして中日ドラゴンズへ

2003年、山下大輔新監督の構想により、それまでストッパーを務めていた斎藤隆の先発転向に伴い、ストッパーとしての活躍が期待されましたが、結果を残すことができず、中日から移籍してきたエディ・ギャラードにストッパーの座を譲ることになりました。翌年も調子は上がらず、2004年には登録名を「デニー友利」に戻すも、21試合の登板で防御率4.62に終わり、オフにはMLB入りを前提に自由契約となりました。

その後、アメリカでトライアウトを受け、2005年にボストン・レッドソックスとマイナー契約を結びましたが、メジャー昇格は叶いませんでした。

2006年には中日ドラゴンズと契約を結びました。監督の落合博満は、友利の能力を評価したバッテリーコーチの森繁和から獲得を進言されていました。ベテランながら、最速150km/hの速球を武器に、中継ぎとしてチームに貢献しました。

2007年には再び登録名を「デニー」に戻し、シーズン途中で戦力外通告を受けましたが、落合監督の計らいで、本拠地最終戦を退団試合として送り出されました。

引退後

2008年から2009年には、ボストン・レッドソックスの国際担当顧問兼巡回コーチを務め、松坂大輔、岡島秀樹、田澤純一らの活躍をサポートしました。また、吉本興業スポーツ部に所属し、ニッポン放送「ショウアップナイター」の解説者や、日刊スポーツの評論家としても活動しました。

2012年からは、横浜DeNAベイスターズの一軍投手コーチとして現場復帰しました。登録名は「目立たないために」という本人の意向で「友利結」となりました。しかし、長年「デニー」の登録名で親しまれていたため、しばらくすると周囲からは「デニー」と呼ばれることが多かったそうです。

闘志を前面に出した指導を行い、投手の交代時やピンチの際にマウンドへ行き、投手の胸を軽く叩く「闘魂注入」は、当時の名物となりました。しかし、指導していた投手陣の与四球が多く、チーム防御率も低迷したため、2013年オフに退団しました。

2014年からは中日ドラゴンズの投手コーチに就任。ベンチ担当、ブルペン担当を経て、2017年シーズン途中に編成部（国際渉外担当）専任となりました。2019年オフには中日ドラゴンズとの契約を満了し、2020年からは読売ジャイアンツの編成本部海外スカウトに就任。2024年現在は編成本部長補佐国際スカウトを務めています。

人物・エピソード

友利は、日本人の母とアメリカ人の父を持つハーフであり、アメリカ国籍時代の名前はローレンス・フランクリン・デニーでした。選手時代の一時期と野球評論家時代は「デニー友利」名義で活動していましたが、「デニー」はアメリカ名のファミリーネーム（名字）のため、「デニー友利」はいわゆる「ダブルネーム」となります。

日本名「友利結」には「友と手を結びて勝利を得る」という意味がありますが、姓名判断で「結」が「終わり」を意味するため、改名に至ったとされています。

桑田清原世代と同世代ですが、入団年度は1学年下になります。このためか、1学年下の潮崎哲也や、2学年下の盛田幸妃など、後輩からも「デニー」と呼び捨てにされることがあったそうです。

ボストン・レッドソックスのジョナサン・パペルボンとは、3A時代にチームメイトであり、現在でも交流があるそうです。西武時代には松坂大輔の教育係として、兄弟のような関係を築きました。

息子である友利アレンも、現在、テイ・エステック硬式野球部で投手としてプレーしています。

大洋時代には、オフのプロ野球選手運動会で徒競走や走り高跳びで決勝進出の常連者となるほど、高い運動能力を持っていました。

西武に移籍してから活躍した理由として、大洋・横浜時代のコーチ陣の指導が細かかったため萎縮していたこと、西武では自主性を尊重して指導があまり細かくなかったことが合っていたと述べています。

1997年のシーズン中、中継ぎとして活躍していた宣銅烈の投球フォームを真似たことがきっかけで、好結果が出始めたというエピソードもあります。

西武時代には、練習用のグローブに刺繍された文字から、西武鉄道沿線の母子家庭児を招待する「デニーズシート」が話題となりました。

中日入団の際には、落合博満監督からの電話で即入団が決定しましたが、実はMLBでの在籍があったため、一旦入団を取り消し、再度手続きを取るという一幕もありました。

高所恐怖症で、解説時に高い建物が映ると「登りたくない」とコメントすることがありました。

榎本加奈子主演のドラマや、映画にも出演した経験があります。

大洋時代から引退まで、やくみつるの4コマ漫画に登場し、辛辣なネタにされることが多かったそうです。

引退後は実家のある北谷町に移住し、解説などの仕事の際には上京しています。

沖縄県浦添市にある「てだこそば」がお気に入りです。

詳細情報

年度別投手成績

（大洋は、1993年に横浜に球団名を変更）

表彰

月間MVP：1回（1998年7月）

記録

初登板：1987年10月8日、対広島東洋カープ戦
初奪三振：1987年10月8日、対広島東洋カープ戦
初先発：1987年10月17日、対広島東洋カープ戦
初勝利：1995年10月6日、対阪神タイガース戦
初セーブ：1995年10月7日、対中日ドラゴンズ戦
初ホールド：2006年4月1日、対広島東洋カープ戦
オールスターゲーム出場：1回（1998年）

背番号

30（1987年 - 1996年）
36（1997年 - 2002年、2007年）
41（2003年 - 2004年）
46（2006年）
89（2012年 - 2013年）
81（2014年 - 2017年）

登録名

友利 結（1987年 - 1994年、2012年 - ）
デニー友利（1995年 - 1996年、2004年 - 2006年）
デニー（1997年 - 2003年、2007年）

関連情報

出演

ニッポン放送ショウアップナイター
MLBスタジアム（BS-TBS）
J SPORTS STADIUM（J SPORTS）
メジャーリーグ中継 (J SPORTS)
野球好きニュース（J SPORTS）
おそるべしっっ!!!音無可憐さん（テレビ朝日）

外部リンク

個人年度別成績 デニー - NPB.jp 日本野球機構
選手の通算成績と情報 MLB、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
吉本興業のウェブサイトでのプロフィール

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