友朋堂書店

株式会社友朋堂書店

株式会社友朋堂書店（ゆうほうどうしょてん）は、茨城県つくば市を拠点に事業を展開する日本の企業です。主な業務として、学校で使用される文部科学省検定済教科書の販売や、法人からの個別の注文に応じた書籍の供給を手がけています。加えて、本社と同じつくば市吾妻三丁目において、社名と同名の店舗を運営し、書店としての店頭販売も行っています。本社所在地は茨城県つくば市吾妻三丁目8番地7です。

沿革

友朋堂書店は、1980年（昭和55年）7月に法人として設立されました。その翌年、1981年（昭和56年）5月に柳橋治社長が自身の父と共に書店の営業を開始しました。開業当初、店舗（現在の吾妻店）が立つ場所は借り受けた土地であり、周辺には広大な草原が広がっていました。このため、市場調査を担当した関係者からは「商業的に成功するのは難しいだろう」との見方を示されたといいます。ところが、実際に開店した初日には、予想に反して非常に多くの来店客で賑わい、その日のうちに190万円を売り上げるという驚くべき活況を呈しました。筑波研究学園都市という地理的な特性から、一般的な雑誌や書籍だけでなく、一冊数千円にも及ぶ高価な専門書まで幅広く売れるという状況が生まれ、一時は出版業界からもその販売動向に注目が集まりました。

その後、筑波研究学園都市内では書店の進出が相次ぎ、競争環境は次第に厳しさを増していきます。大手流通グループであるジャスコ（現在のイオングループ）系列のブックバーンや、カスミ系列のブックランドカスミといった書店が進出したほか、地域の主要商業施設である西武筑波店やダイエー筑波学園店も大規模な書籍売場を設けるなど、書店間の競争は一層熾烈になりました。こうした状況に対応するため、友朋堂書店も対抗策を講じ、1986年（昭和61年）3月には2号店となる梅園店を開業するなど、店舗数を増やすとともに、営業時間の延長や店舗面積の拡大といった取り組みを進めました。

地域に根差した書店として、文化活動にも積極的に関わりました。1996年（平成8年）4月には、地域月刊誌である『筑波の友』の創刊10周年を記念し、「筑波研究学園都市ブックフェア」を吾妻店で開催しました。また、2011年（平成23年）1月には、経営が危ぶまれていた地元の出版社、筑波書林を支援する目的で、「ふるさと文庫応援フェア」を当時営業していた全4店舗で実施しています。

2000年（平成12年）には、ASSE店を含む4店舗体制となり、長年にわたる営業を通じて、地域住民や筑波大学の学生などから広く親しまれる存在へと成長していきました。しかしながら、全国的な傾向である「活字離れ」や、デジタル化の進展に伴う電子書籍の普及といった影響を受け、経営環境は徐々に厳しさを増していました。

店頭販売からの転換とその後

経営が困難になる中で、友朋堂書店に大きな影響を与えたのが、取引のあった出版取次業者の事業撤退でした。2016年（平成28年）2月5日、長年にわたり書籍供給を担ってきた出版取次業の太洋社が、自主的な廃業に向けた準備に入ると発表しました。友朋堂書店では、2月8日に開かれた太洋社の説明会後、他の取次業者との取引継続に向けた交渉を試みましたが、条件面で合意に至ることができませんでした。これにより、店頭での書籍販売事業から一時的に撤退するという苦渋の決断を下すことになります。そして、同年2月11日に、本社機能も併設する吾妻店を閉鎖しました。吾妻店は通常22時まで営業していましたが、最終日は多くの来店客で賑わったため、閉店時間を30分延長してシャッターを下ろしました。地元の常陽新聞社も、公式Twitterアカウントで吾妻店の写真とともに、同店のシンボルであった「本」の看板が「間もなく消えます」と投稿し、多くの関心を集めました。

翌2月12日には、桜店と梅園店も営業を終了し、これにより友朋堂書店の全店舗が閉鎖されることとなりました。店舗閉鎖に際し、柳橋治社長は「店舗での営業再開を目指していきたい」と述べ、将来的な店頭販売への復帰を検討している意向を表明しました。Twitter上では、友朋堂書店の閉店を惜しむ声が相次いで投稿され、「友朋堂ロス」という言葉が生まれるほど、地域社会に大きな反響を呼びました。店舗営業の停止に伴い、友朋堂書店は事業の重点を教科書販売と外商（法人等への個別販売）へと移しました。なお、太洋社の廃業は友朋堂書店だけでなく、全国各地の他の書店にも影響を及ぼし、ひょうたん書店（鹿児島市）、ブックス書泉（熊本市）、ブックランドあいむ（愛知県豊橋市）といった多くの書店が相次いで閉店する事態となりました。

全店閉店後も、地域とのつながりを保つ動きが見られました。2016年（平成28年）3月3日から3月6日にかけて、桜店では在庫となっていた郷土関連書籍や岩波書店の一部書籍、文房具、CDなどを販売する「サヨナラセール」が実施されました。また、同年8月7日には、友朋堂書店の復活を願う地元の市民有志たちが、吾妻店を借りて「一箱古本市」を開催するなど、かつての店舗を活用したイベントが行われました。

その後、2017年7月頃からは、吾妻店のシャッターが開けられるようになり、限定的な形での書店営業が再開されました。2017年現在では、平日の10時から18時まで、吾妻店にて書籍の販売が行われています。

かつて存在した店舗

かつて営業していた吾妻店、桜店、梅園店の3店舗は、いずれもショッピングセンターなどのテナントとしてではなく、土地と建物が自社所有の独立した建物でした。また、これら3店舗はすべて文部科学省検定教科書の取扱指定店でもありました。

営業中:
吾妻店（つくば市吾妻三丁目8番地7） - 2016年2月11日に閉店しましたが、2017年7月頃から平日日中限定で営業を再開しています。

閉店:
桜店（つくば市桜一丁目14番地1） - 2016年2月12日閉店。現在はウエルシア薬局つくば桜店となっています。
梅園店（つくば市梅園二丁目25番地10） - 2016年2月12日閉店。現在は三菱電機システムサービスの営業所として利用されています。
ASSE店（つくば市上横場、つくばショッピングセンターASSE2階） - 2013年11月4日に先行して閉店しました。

（参照情報に基づく記述であり、2017年以降の更なる変化についてはこの記述に含まれていません。）

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