双子山信号場

双子山信号場：紀勢本線の要衝を担った単線交換施設

和歌山県西牟婁郡すさみ町和深川に位置する双子山信号場は、西日本旅客鉄道（JR西日本）紀勢本線に属する信号場です。見老津駅と周参見駅の間は、約10kmに渡って単線区間が続くため、列車の行き違いを可能にするために設置されました。紀勢本線きのくに線区間において、唯一の単線交換信号場として、長年にわたり地域の鉄道交通を支えてきました。

構造と運用

双子山信号場は、列車の交換を目的とした施設です。海側に位置する1番線を本線とし、内陸側の2番線を副本線とする一線スルー式を採用しています。両線路には双方向に出発信号機が設置されており、通常は行違いがない限り、上下列車とも1番線を通行します。2番線は、列車の行違い時のみ使用されます。安全を確保するため、1番線（周参見側）と2番線（見老津側）にはそれぞれ安全側線が設けられています。

信号場の制御は、和歌山指令所による遠隔操作と監視で行われています。無人駅であり、定期的な保守点検や訓練が実施されています。具体的には、毎年串本駅・白浜駅と合同で異常時取扱い訓練が行われ、安全運用の維持に努めています。なお、旅客の乗降は行われません。

歴史

双子山信号場は、1965年（昭和40年）2月27日に国鉄の信号場として誕生しました。その後、1987年（昭和62年）4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR西日本がその運営を引き継ぎました。

2021年（令和3年）3月13日のダイヤ改正では、定期列車の行違いが廃止となり、2番線は使用停止となりました。それ以前は、昼過ぎに普通列車と特急「くろしお」の行違いが設定されていました。このダイヤ改正により、双子山信号場の役割は大きく変化しました。信号設備自体は機能を維持していますが、列車の行き違いは行われなくなっています。

周辺環境とアクセス

双子山信号場は、双子山の山裾、谷間に位置しています。周辺は自然豊かな環境が広がり、交通手段は国道42号を走る路線バスが頼りです。鉄道によるアクセスは信号場自体にはなく、最寄りの駅である見老津駅や周参見駅からバスを利用する必要があります。

隣の施設

西日本旅客鉄道（JR西日本）
紀勢本線
見老津駅 - 双子山信号場 - 周参見駅

まとめ

双子山信号場は、紀勢本線の単線区間における重要な役割を担ってきた歴史を持つ施設です。近年はダイヤ改正により運用形態が変化しましたが、その存在は紀勢本線の歴史と、地域の鉄道交通を考える上で欠かせないものです。周辺の自然環境との調和、そして歴史的背景を踏まえた上で、今後の活用方法が検討されることが期待されます。将来的には、観光資源としての活用や、地域活性化への貢献が期待できるかもしれません。

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