反射チョッキ

反射チョッキとは

反射チョッキは、反射材を取り付けた作業衣や装備品であり、主に交通の往来がある場所で、着用者の存在を他者に認識させやすくすることで、接触事故などの発生を防ぐ目的で使用されます。反射ベスト、安全ベスト、ポリスチョッキ、夜光ベスト、ハイウェイチョッキ、ハイビジビリティベストなど、様々な名称で呼ばれることもあります。

概要

日本では、主に警察官、消防隊員、交通誘導を行う警備員、土木工事作業員、道路維持管理要員（国土交通省、都道府県、NEXCOなど）、車両サービス要員、鉄道の保全作業員（保線区員、信号通信区員など）が、道路、駐車場、トンネル内などの作業現場で着用しています。

また、大規模な工場、倉庫、港湾荷役作業、空港、米軍基地など、構内でも交通量が多い場所では、反射チョッキの着用が義務付けられている場合があります。これらの事業所では、制服にあらかじめ反射材が縫い付けられていることもあります。一部の鉄道、通信、郵便などのインフラ事業者、運送業者、ガソリンスタンドでも、反射チョッキを見かけることがあります。

業務用途以外では、ジョギング、防犯パトロール、ツーリングなどで夜間に道路を通行する際に着用されることがあります。特に、ブルベのような夜間走行やトンネル走行を伴うサイクリングイベントでは、反射ベストまたは反射たすきの着用を参加条件としている場合があります。

製品の規格については、以前は反射材自体に関する規格（JIS Z 9117）しかありませんでしたが、欧州のEN20471に倣い、2015年10月30日にJIS T 8127（高視認性安全服）が制定されました。

構造

日本で一般的に使用されている反射チョッキは、メッシュ生地のベストに反射材（多くはスリーエム ジャパンの「スコッチライト」）を縫い付けたタイプです。反射材（幅50～90mm）は胴回りのほか、V字型に配置され、裏面は表面と同じか短いテープをもう一本加え、∀（逆A字）型に配置されているのが一般的です。背中に企業名などを入れることも多くあります。寒冷地仕様として、-30℃の環境に耐えられる製品も存在します。

特に、旅客鉄道各社では作業性の観点から、通常の反射チョッキよりもメッシュ生地部分を省いた「たすき型」のものが使用されています。これは「JRタイプ」と俗称され、背面をX字にすることで、ハンドリング性や絡み防止を考慮しています。

発光ダイオード（LED）を内蔵した製品も普及しています。反射材の斜めライン部分にLEDが実装されており、1ラインあたり3～5個、4箇所合計で12～20個のLEDが並べられています（4個ずつ、計16個の製品が多い）。操作方法は、左側腰部のポケットに入っている電池ボックスのスイッチをスライドさせるか、反射テープ内側の配線パターン上にあるボタンを押すものがほとんどです。電源を入れると、1分間に60回、90回、150回などの一定間隔で点滅しますが、「点灯と点滅の切り替え」ができるものや、「長周期の点滅1回・短周期の点滅2回」を繰り返す特殊な製品もあります。

一般的に、LED内蔵製品の発光色は赤色ですが、青色LEDを用いたものや、複数色（赤・青の二色や、それに緑を加えた3色）を切り替えられるもの、さらには発光デバイスに有機ELを使用した製品も登場しています。これらの製品は高価ですが、一部の警察や町内自警団などで採用されています。これらの製品は、たとえ耐水性を謳っていても、電池ボックスや接続コードを濡らさないように注意が必要です。

このほか、靴、コート、ジャケット、リュックサックなどにも反射材を用いたり縫い付けたりした製品が存在します。ランドセルなどに貼れるよう、裏面に粘着剤を塗布した反射テープも販売されています。一部の小中学校では、登下校時の安全確保のために反射たすきを配布している例もあります。

欧州の規格

高視認性安全作業衣服に関する規格として「EN20471」が存在します。EU諸国内では、CEマークの取得と併せて、この規格に適合した製品でなければ販売できません。この規格は、もともと「EN471」でしたが、2013年に堅牢性の強化や反射テープの配置に関する要件が盛り込まれました。また、小児向けなど非職業用の製品には、面積や色彩に関する要件を緩和した「EN1150」があります。

米国にも同様の規格「ANSI107」が定められており、いずれも作業環境に応じた製品のクラス分けがなされています。詳しくは、ユニチカスパークライトの「ヨーロッパの規格について」を参照してください。

EU諸国では、高速道路上で車外に出る際、工事作業員だけでなく、車両故障などで一時的な作業を行う一般人についても、上記の規格を満たす安全作業衣の着用が義務付けられています。また、日本と同様に三角表示板の携帯も義務付けられているほか、EU加盟国の一部では、新車販売時から安全作業衣を車載することも義務付けられています。このような背景から、日本ではホームセンターや作業服店でしか見られない反射チョッキ（安全作業衣）も、現地ではガソリンスタンドでも販売されています。

脚注

関連項目

反射
リトロリフレクター
コーナーキューブ
交通警備
蛍光
黄色いベスト運動

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