古沢勘兵衛

古沢勘兵衛

古沢勘兵衛（1902年1月10日 - 1973年5月2日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の柔道家であり、講道館九段、大日本武徳会教士の称号を持つ。

経歴

栃木県芳賀郡益子町に生まれた古沢は、旧制真岡中学校（現・栃木県立真岡高等学校）で学び、1920年に講道館に入門。翌年には異例の速さで初段を取得した。

柔道の専門家を目指し大日本武徳会武道専門学校に進学。恵まれた体格に加え、四斗樽を軽々と持ち上げる怪力で「塙団右衛門」の異名をとった。磯貝一や田畑昇太郎、福島清三郎らに師事し、栗原民雄に鍛えられた。

1925年に武専を卒業後、朝鮮総督府警官講習所の柔道師範として京城府に赴任。同年、講道館からも四段を授与された。満州・朝鮮対抗試合では朝鮮軍の主力として活躍し、明治神宮大会では工藤一三との激闘を繰り広げた。

古沢の柔道は、その怪力を活かした豪快なものであった。特に、相手を吊り上げての小外刈や強引な内股、そして崩上四方固を得意とした。

1929年の御大礼記念天覧武道大会では、最年少で出場するも予選リーグで敗退。しかし、1930年の第1回全日本選士権大会では、朝鮮・満州代表として出場し、決勝で柏原俊一を内股で破り優勝。1932年の第3回大会でも優勝を果たし、その実力を示した。

1934年の皇太子殿下御誕生奉祝天覧武道大会では再び予選リーグで敗退。同年の全日本選士権大会では決勝で対馬彪一に敗れた。その後は全日本選士権大会への出場はなかったものの、全日本東西対抗大会や日満対抗大会などで活躍した。

終戦後は日本に引き揚げ、柔道整復師として生計を立てた。1947年に八段、1968年には九段を授与されたが、柔道界に積極的に関わることはなく、1973年に生涯を閉じた。

古沢は、その強靭な肉体と豪快な技とは裏腹に、温厚な人柄で知られていた。武専の後輩にも分け隔てなく接し、筑前琵琶や陶芸、茶道など多彩な趣味を持っていた。

古沢勘兵衛は、怪力無双の柔道家として名を馳せながらも、温和な人柄と豊かな趣味を持つ魅力的な人物であった。

もう一度検索