古河和一郎

古河 和一郎（ふるかわ わいちろう）

古河和一郎は、明治20年（1887年）6月18日に兵庫県で生まれ、昭和20年（1945年）7月9日に亡くなった、日本の計理士であり政治家です。特に衆議院議員として、郷里である兵庫県第四区から二度国政の場に送り出されました。

生い立ちと初期のキャリア

古河家は父に彌太郎を持ち、和一郎はその長男として生まれました。明治35年（1902年）には家督を継承しています。学業は関西大学専門部法律科に進みましたが、中途で退学しています。

大学を離れた後、彼はまず税務署に勤務しました。官職を辞した後は、金融界に転じ、一ノ宮商業銀行の大阪支店長を務めています。銀行を退職した後は、経済の中心地であった大阪の北浜において、自ら株仲買店を経営するなど、実業家としての経験を積みました。

計理士としての活動

昭和2年（1927年）、古河は計理士として独立開業しました。その専門知識と経験は広く認められ、計理士会の理事に就任したほか、大阪市および大阪府の計理士会長を歴任するなど、計理士業界の要職を務めました。また、日本連管工業社の理事長としても活動しています。

政治家への道

実業家・計理士として地盤を固めた古河は、政界への進出を目指します。昭和3年（1928年）の第16回衆議院議員総選挙以降、郷里である兵庫県第4区から連続して立候補を続けましたが、当選には至りませんでした。しかし、長年の努力は実り、昭和11年（1936年）の第19回総選挙において、立憲政友会の公認候補として遂に初当選を果たし、念願の国政参加を実現しました。

しかし、翌昭和12年（1937年）の第20回総選挙では再び落選という結果に終わります。それでも政治への情熱は衰えず、昭和17年（1942年）の第21回総選挙では、非推薦ながらも二度目の当選を果たし、再び衆議院議員として活動を開始しました。議員としては、当時の戦時体制下の議会を担った翼賛政治会において、政務調査会の逓信および商工兼務委員を務めています。

政策と主張

古河和一郎は、その政見綱領において、多岐にわたる政策提言を行っています。特に農村の現状と税制改革に強い関心を示しました。

彼の主な主張は以下の通りです。

軍事と農業を両立させる「兵農両全主義」の実現。
税制を根本的に改革し、農村の負担を軽減すること。
戦時体制下の「非常時」における特種産業に対して、適切に課税すること。
所得税、営業収益税、相続税といった主要な税法や、税務署の組織を根本的に改革することで、国民全体の税負担の均衡を図ること。
地方財政の不足を補うための制度を確立し、当面年間5千700万円の国庫支出を求めること。
地方における資金の流れを円滑にし、金利を低く抑えることを徹底し、国民の負債整理に全力を挙げること。
* 農業を基盤として、治山治水、用排水施設の整備、耕地整理を積極的に実施し、農作物の増産を計画的に進めること。

これらの政策は、彼の計理士としての経験や、兵庫県の農村部を選挙区としていたことなどが影響していると考えられます。

人物像と家族

古河和一郎の住所は、兵庫県姫路市五軒邸と大阪市東区淡路町2丁目にあったと記録されています。宗教は真宗でした。彼の趣味は幅広く、盆栽、仏像、刀剣といった伝統的なものに加え、特に書画骨董に対する造詣が深かったことが知られています。昭和18年（1943年）には、その功績により紺綬褒章を受章しています。

人柄については、温厚で、友人や知人との関わりを大切にする友情に厚い人物であったと評されています。また、「共存共栄」を自らの主たる論として説くなど、協調を重んじる姿勢が見られます。

家族については、父彌太郎、母かし（山下次作の三女）、妹かゑ、弟和三次（分家）がいました。妻ひでこ（田郷貫二の妹）との間には、長男太郎（後の東京医科歯科大学教授）と長女智恵子（歯科医）をもうけています。

最期

古河和一郎は、衆議院議員在職中の昭和20年（1945年）7月9日、太平洋戦争末期の混乱の中、姫路市の自宅近くで戦災に巻き込まれ、命を落としました。多方面で活躍した生涯は、戦火の中で突然の終焉を迎えました。

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