古田亮

古田亮（ふるた りょう）は、1964年生まれの日本の美術史学者であり、東京藝術大学大学美術館の教授を務めています。彼の専門は近代日本美術史であり、その深い知識と洞察力によって、日本の美術史研究に多大な貢献をしています。

来歴

東京都で生まれた古田氏は、1989年に東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業しました。その後、1993年に同大学院博士課程を中退し、東京国立博物館美術課絵画室の研究員となりました。1998年には東京国立近代美術館に勤務し、2001年には同館の主任研究官に就任しました。2006年からは東京藝術大学大学美術館の助教授、2007年には准教授となり、2021年度からは教授として教鞭を執っています。

古田氏は、数々の重要な展覧会を担当しており、その企画力と学術的な知識が高く評価されています。2004年には琳派展、2006年には「揺らぐ近代」展（2007年に倫雅美術奨励賞を受賞）、2007年には横山大観展などを担当しました。また、2010年には著書『俵屋宗達』でサントリー学芸賞を受賞するなど、研究者としての業績も高く評価されています。

著書

古田氏は、数多くの著書を執筆しており、その研究成果は広く公開されています。主な著書として以下のようなものがあります。

『狩野芳崖・高橋由一 日本画も西洋画も帰する処は同一の処』（ミネルヴァ書房、2006年）
『俵屋宗達 琳派の祖の真実』（平凡社新書、2010年）
『高橋由一 日本洋画の父』（中央公論新社、2012年）
『美術「心」論 漱石に学ぶ鑑賞入門』（平凡社、2012年）
『特講 漱石の美術世界』（岩波書店、2014年）
『視覚と心象の日本美術史』（ミネルヴァ書房、2014年）
『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』（KADOKAWA、2018年）
増補『近代日本画の歴史』（角川ソフィア文庫、2024年）
『横山大観 近代と対峙した日本画の巨人』（中央公論新社、2018年）

また、共著や編著も多数あり、他の研究者との共同研究も積極的に行っています。

『近代日本の画家たち 日本画・洋画美の競演』（平凡社、2008年）
『もっと知りたい速水御舟 生涯と作品』（東京美術、2009年）
『岡倉天心 近代美術の師』（平凡社、2013年）
『もっと知りたい横山大観 生涯と作品』（東京美術、2018年）
『教養の日本美術史』（ミネルヴァ書房、2019年）
『日本画の所在 東アジアの視点から』（勉誠出版、2020年）
『新訳 東洋の理想 岡倉天心の美術思想』（平凡社、2022年）

研究内容

古田氏の研究は、近代日本美術史を軸に、日本画と西洋画の相互作用、美術家の思想や制作背景、美術作品の鑑賞論など、多岐にわたります。特に、琳派の祖である俵屋宗達や、日本洋画の先駆者である高橋由一、近代日本画の巨匠である横山大観など、重要な美術家に関する研究は、専門家だけでなく、一般の美術愛好家からも高い関心を集めています。

また、夏目漱石の美術に関する考察や、岡倉天心の美術思想の研究など、文学や思想史と美術史を横断するような研究も行っており、美術史研究の幅を広げる上で重要な貢献をしています。

古田氏の著作や論文は、日本の美術史を理解する上で欠かせない資料であり、今後の美術史研究においても、彼の業績は重要な基礎となるでしょう。彼の研究は、美術史の専門家だけでなく、広く美術に関心を持つ人々に新たな視点を与え、日本美術の魅力に触れるきっかけを提供しています。

古田亮氏は、教育者としても多くの学生を育成しており、今後の日本美術史研究を担う人材の育成にも力を注いでいます。彼の活動は、日本の美術史研究の発展に大きく寄与しており、その今後の活躍が期待されています。

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