句渠知

句渠知（こう きょち）

句渠知（生没年不詳）は、五胡十六国時代に活動した反乱勢力の首領であり、巴賨（はそう）族の出身です。前趙の皇帝、劉曜（りゅうよう）の支配下にあった一族の長として、やがて劉曜に対して反旗を翻し、「大秦」という独自の王朝を打ち立てました。

生涯

句渠知は元々、巴賨族の酋長として、その一族は前趙の皇帝、劉曜の支配下にありました。光初3年（320年）6月、同じく巴賨族の酋長である句徐（こうじょ）・厙彭（しゃほう）らは、劉曜配下の長水校尉である尹車（いんしゃ）・解虎（かいこ）と共謀し、劉曜に対して反乱を企てました。しかし、その計画は露見し、劉曜は句徐・厙彭をはじめとする50人余りを阿房宮（あぼうきゅう）に監禁し、処刑しようとしました。この時、游子遠（ゆうしえん）という人物が叩頭して諫めましたが、劉曜は聞き入れず、句徐らを虐殺。さらに、その屍を10日間も市中に晒した後、川に捨ててしまいました。

この劉曜の残虐な行為に激怒した句渠知は、劉曜への報復を大義名分として挙兵します。すると、周辺にいた巴賨族、氐族（ていぞく）、羌族（きょうぞく）、羯族（けつぞく）といった異民族30万人以上が呼応し、その勢いは燎原の火の如く拡大しました。句渠知は国号を「大秦」と定め、元号を「平趙」と改め、自立を宣言。これにより、関中は大混乱に陥り、白昼堂々、城門が閉ざされるような事態となりました。

事態を重く見た劉曜は、内外に戒厳令を敷き、游子遠の献策に従い領内に大赦を下します。さらに、游子遠を車騎大将軍・開府儀同三司・都督雍秦征討諸軍事という要職に任じ、反乱の鎮圧を託しました。

游子遠が軍を率いて雍城（ようじょう）に入ると、10万を超える民が游子遠の下に帰順しました。さらに、游子遠が安定（あんてい）に軍を進めると、氐族・羌族の多くも句渠知の下から離反。孤立した句渠知は、宗党5千家余りと共に陰密（いんみつ）に拠って対抗しましたが、游子遠による陰密への進攻を受け、大敗を喫し、陰密は陥落しました。その後の句渠知の動向については、記録が残っておらず、不明です。

参考文献

『晋書』巻103 載記第3
『資治通鑑』 第91巻

もう一度検索