台湾電力

台湾電力（たいわんでんりょく）

台湾電力は、台湾の電力供給を担う公営企業であり、その歴史は日本統治時代に設立された台湾電力株式会社に遡ります。第二次世界大戦を経て、現在の台湾電力公司（通称：台電、Taipower）へと改組されました。

日本統治時代

1919年（大正8年）4月、第7代台湾総督である明石元二郎の時代に、台湾島内の電力事業を一元化するため、台湾電力株式会社が設立されました。設立時の資本金は3000万円で、政府が既存の電力事業を1200万円と評価して出資し、残りの1800万円を民間から調達しました。設立の目的は、日月潭と門牌潭に水力発電所を建設し、台湾全土を電化することでした。特に、日月潭には落差320m、発電量10万キロの水力発電所が計画されました。

当時の社長は松木幹一郎であり、その功績から「台湾電力の父」と称されています。日月潭水力発電所の建設は、当初1927年（昭和2年）に第一次世界大戦後の恐慌の影響で中断しましたが、1928年（昭和3年）に台湾総督府の保護の下で外債を発行し、工事が再開されました。そして、1934年（昭和9年）に当時アジア最大規模となる日月潭第一発電所が完成し、台湾の工業化の基礎となる電力が供給されました。発電所建設のための資材輸送のために、縦貫線二八水駅（現・二水駅）から工事現場までの鉄道が敷設され、これが現在の集集線につながっています。その後、電力需要の増加に対応するため、1935年（昭和10年）には日月潭第二発電所、1941年（昭和16年）には万大発電所の建設も開始されましたが、太平洋戦争中のアメリカ軍の空襲により被害を受け、工事は中断しました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、台湾電力公司（通称：台電、Taipower）として再編されました。台湾における唯一の公営電力会社であり、発電から送電、配電までを一貫して行っています。1946年に、日本統治下の台湾で電力供給を行っていた台湾電力を含むすべての電力事業者が接収され、政府資本によって新たに設立されました。その後、1977年に政府資本の株式会社制に組織変更され、経済部の監督下で事業を運営しています。国営企業であるため、新規事業や電気料金の改定には国会の審議が必要です。

現在、台湾電力は11カ所の火力発電所、11カ所の水力発電所、3カ所の原子力発電所（2010年稼働を目指して第4の原子力発電所が準備中）を保有しており、年間総発電量は2257億kWhに達します（2016年）。その内訳は、火力発電が79.9％、天然ガスが36％、再生可能エネルギーが5.1％、リサイクル資源利用が2.6％、水力発電が1.5％となっています。

脚注

台湾電力は、台湾の経済発展に不可欠なエネルギーインフラを担っています。
近年では、環境への配慮から再生可能エネルギーの導入にも注力しています。

関連項目

劉晋鈺
台湾電力株式会社社長宿舎
台電大楼駅
台湾電力足球隊
台湾電力1号形蒸気機関車
大潭発電所

外部リンク

* 公式ウェブサイト

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