合骨咄禄毘伽可汗

合骨咄禄毘伽可汗（アルプ・クトゥルグ・ビルゲ・カガン）

合骨咄禄毘伽可汗（こうこつとつろくびがかがん、生年不詳 - 789年）は、回鶻（ウイグル）可汗国の第4代可汗です。薬羅葛（ヤグラカル）氏の出身で、名前は記録に残っていません。彼は、当初、頓莫賀達干（トン・バガ・タルカン）の称号を持つ宰相として、先代の牟羽可汗（ブグ・カガン）に仕えていました。

宰相から可汗へ

大暦14年（779年）、唐の皇帝であった代宗が崩御し、徳宗が即位しました。徳宗は、中官の梁文秀を回鶻に派遣し、両国間の関係修復を図りました。しかし、牟羽可汗はこれに応じず、ソグド人の大臣を重用し、唐の喪に乗じて侵攻を企てました。宰相であった頓莫賀達干は、牟羽可汗を諫めましたが、聞き入れられませんでした。そのため、頓莫賀達干はクーデターを決行し、牟羽可汗とその近親者、そしてソグド人ら約2000人を殺害し、自ら可汗に即位しました。これが合骨咄禄毘伽可汗の誕生です。彼は即位後、アルプ・クトゥルグ・ビルゲ・カガンと号しました。

唐との関係

合骨咄禄毘伽可汗は、唐との関係修復に努めました。即位後、梁文秀の帰国に合わせて、酋長の建達干を唐へ入朝させました。建中元年（780年）、徳宗は頓莫賀を武義成功可汗として冊立するために、京兆少尹の源休を回鶻に派遣しました。しかし、この時、唐では、回紇の酋長たちが、ソグド人にそそのかされた振武軍使の張光晟によって殺害されるという事件が発生しました。徳宗は張光晟を罷免しましたが、この事件はすでに可汗の耳にも届いており、両国間には緊張が走りました。翌年、源休は詔と殺害された酋長たちの遺体を携えて回紇に到着しましたが、大相の頡于迦斯によって50日間拘束されました。最終的に、武義成功可汗は源休を許して釈放し、散支将軍の康赤心らを唐に入朝させました。

婚姻による関係強化

貞元3年（787年）8月、武義成功可汗は、首領の墨啜達干と将軍の合闕達干らを唐へ派遣し、貢物を献上するとともに、和親と求婚を申し入れました。徳宗はこれを認め、咸安公主を嫁がせることを決定しました。翌年10月、武義成功可汗は、宰相の阿跌都督ら1000人と妹の骨咄禄毘伽公主など60数人、馬2000匹を咸安公主を迎えに行かせました。しかし、阿跌都督は室韋族の襲撃によって亡くなり、骨咄禄毘伽公主ら700人のみが唐に入朝することとなりました。この時、武義成功可汗は、唐に対し、かつて兄弟関係であった両国が、今や婿と子の関係になったと述べ、回紇の名を回鶻に改めることを請願しました。徳宗は、骨咄禄毘伽公主をもてなした後、滕王李湛然と右僕射の関播に公主と咸安公主を護送させ、冊書によって、武義成功可汗を汨咄禄長寿天親毘伽可汗に拝し、咸安公主を智恵端正長寿孝順可敦に拝しました。

晩年と死

貞元5年（789年）12月、汨咄禄長寿天親毘伽可汗は亡くなり、子の多邏斯（タラス）が後を継いで忠貞可汗となりました。

家族

可敦（カトゥン：皇后）
咸安公主
子
多邏斯（忠貞可汗）

参考資料

『旧唐書』
『新唐書』
* 森安孝夫『興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国』（講談社、2007年）

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