吉利・SEA

SEA（サスティナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー）

SEAとは、中国の吉利汽車が手掛けた電気自動車（EV）向けのモジュラープラットフォームのことです。このプラットフォームは、持続可能な体験を重視して設計されており、様々な要素に対応できる柔軟性を持っています。

概要

SEAの開発は、中国、スウェーデン、イギリス、ドイツの各国にある開発センターで行われ、約3年間、180億元（約2783億円）の巨額な費用が投じられました。そして2020年9月に発表されました。SEAを搭載した最初の車両であるZeekr・001の量産は2021年に始まり、吉利はこのプラットフォームを「世界初のオープンソースアーキテクチャ」として位置づけ、他社への供給も行うと発表しています。

2022年には、ポーランドの新興EVメーカーであるElectro Mobility Polandに対して、SEAを基にしたCセグメントのプラットフォームが提供されることが決定しました。新興メーカーにとって、SEAを活用することで開発コストを抑えることができるため、大きなメリットとなります。

仕様

SEAはAセグメントからFセグメントに至るまで、商用車も含む多様なボディタイプを対象としており、2WD及び4WDに対応可能です。そのため、豊富な拡張性を備えています。プラットフォームには、車体や駆動システムに加え、急速充電機能やOTA（Over-The-Air）アップデート、自動運転機能など、最新の技術が組み込まれています。

SEAには、以下の6つのバージョンが存在します。

• - SEA1：DセグメントからFセグメント向け、ホイールベース約3,000mm。
• - SEA2：BセグメントからDセグメント向け、ホイールベース2,650～2,900mm。
• - SEA-E (Entry)：Aセグメント及び低価格車向け、ホイールベース2,550mm。
• - SEA-S (Sports)：スポーツカー向け。
• - SEA-C (Commercial)：商用ミニバンやピックアップトラック向け。
• - SEA-M：自動運転車向け。

駆動系統は、400Vと800Vの2種類が利用され、搭載されるバッテリーはCATL製です。例えば、SEA-Eには58kWhと68kWhのバッテリーが選択可能で、SEA1のような大型モデルでは最大100kWhのバッテリーを搭載することもできます。また、モーターは最大3基まで搭載可能で、小型エンジンをリアに配置することによってレンジエクステンダーとしても機能します。さらに、吉利の傘下にあるロータスもSEAを基にした独自のEPAプラットフォームを開発し、自社製品に採用しています。

自動運転

2022年11月、吉利のZeekrは、ウェイモと共同で自動運転車専用プラットフォーム「SEA-M」と、そのプラットフォームを使用した自動運転コンセプトカー「M-Vision」を発表しました。このSEA-Mは、自動運転用のインターフェースを搭載し、レベル4以上の自動運転に対応しています。自動運転を前提としているため、デザインにおいてドライバーを中心にした設計は不要で、広々とした室内空間や多様なシートレイアウトが可能となり、乗員の快適性を最大限に引き出しています。ホイールベースは2,700mmから3,300mmまで対応することができます。

SEA-Mを搭載した車両の第1号は、ウェイモ向けに納入が決定しており、今後数年でウェイモ・ワンの配車フリートに導入される予定です。これにより、自動運転技術の発展と、EVプラットフォームの利便性がさらなる進化を遂げることになるでしょう。

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