吉利忠張

吉利忠張について

吉利忠張（よしとし ただはる）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。吉利氏は島津氏の分家であり、忠張の父・吉利忠澄が薩摩国吉利を領したことから、島津貴久の命により吉利姓を名乗るようになりました。忠張は、その嫡男として生まれ、幼少の頃から島津義弘に仕えました。

若き日の活躍

忠張は、鉄砲の名手として知られ、若い頃からその武勇を発揮しました。天正18年（1590年）には、島津義弘の嫡子・久保が小田原征伐に出陣する際、その供をする16騎の一人に選ばれました。文禄元年（1592年）には、義弘・久保親子に従い文禄・慶長の役に従軍し、朝鮮に渡海しました。この戦で忠張は、二尺六寸の刀を振るい、多くの敵兵を討ち取るという武功を挙げ、帰国後に1,000石を加増されています。

庄内の乱と関ヶ原の戦い

慶長4年（1599年）に伊集院忠真が起こした庄内の乱では、島津忠恒に従い出陣しました。忠張は、忠真とは従兄弟の関係にありましたが、敵方から言葉をかけられても、嫌疑を掛けられないよう、一切返答しませんでした。翌慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、加藤清正が島津領への侵攻を企てたため、忠張は水俣に出陣し、佐敷浦海上で清正の家臣・井口伊賀介と合戦を繰り広げました。

大坂の陣と晩年

慶長19年（1614年）及び翌慶長20年（1615年）の大坂の陣にも、島津家久（忠恒）と共に参戦しました。元和7年（1621年）には、下総守の受領名を賜り、寛永12年（1635年）には、恒吉地頭、12月には飯野地頭を任されました。その後は、忠恒の後を継いだ薩摩藩2代藩主・島津光久の参勤の際には、島津久賀、入来院重高（重国とも）と共に年寄役として従い、藩政に貢献しました。

慶安5年（1652年）、吉利忠張は鹿児島で亡くなりました。その生涯は、武将としての活躍はもとより、内政面でも藩に貢献した、まさに文武両道の人物であったと言えるでしょう。

参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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