吉川宏志

吉川宏志（よしかわ ひろし）は、1969年1月15日生まれの日本の歌人であり、現在「塔短歌会」の主宰を務めています。妻も歌人である前田康子であり、息子には映画監督の吉川鮎太がいます。宮崎県東郷町出身で、宮崎県立宮崎大宮高等学校を経て京都大学文学部国文学科を卒業しました。

歌人としてのキャリアは、高校時代の恩師である志垣澄幸の紹介で「塔」に入会したことから始まります。永田和宏に師事し、京都大学短歌会では、梅内美華子、島田幸典、林和清らと共に活動しました。その活動は多岐にわたり、京都新聞歌壇の選者や、2023年度にはNHK短歌の第3週選者を務めています。

吉川宏志の作品は、その卓越した表現力と深い洞察力で高く評価されています。1990年には「渚、夕なぎ」で第1回歌壇賞候補となり、その才能を早くから注目されました。1994年には「妊娠・出産をめぐる人間関係の変容 －男性歌人を中心に」で第12回現代短歌評論賞を受賞し、評論家としての側面も示しました。その後も数々の賞を受賞し、1996年には『青蝉』で第40回現代歌人協会賞、2001年には『夜光』で第9回ながらみ現代短歌賞、2005年には「死と塩」で第41回短歌研究賞、2006年には『海雨』で第11回寺山修司短歌賞と第7回山本健吉文学賞を受賞しました。また、2013年には『燕麦』で第11回前川佐美雄賞、2016年には『鳥の見しもの』で第21回若山牧水賞と第9回小野市詩歌文学賞、2020年には『石蓮花』で第70回芸術選奨文部科学大臣賞と第31回斎藤茂吉短歌文学賞を受賞するなど、その業績は目覚ましいものがあります。

2015年1月には、永田和宏の後を継ぎ、「塔」の主宰に就任し、短歌界の発展に貢献しています。また、2024年には『雪の偶然』で第58回迢空賞を受賞しました。

吉川宏志は、数多くの歌集や歌書を刊行しています。主な歌集には、『青蝉』、『夜光』、『海雨』、『燕麦』、『鳥の見しもの』、『石蓮花』、『雪の偶然』などがあります。歌書としては、『いま、社会詠は』、『風景と実感』、『対峙と対話』（大辻隆弘と共著）、『読みと他者　短歌時評集二〇〇九－二〇一四』、『時代の危機と向き合う短歌』（三枝昂之と共編）などがあります。これらの著作を通じて、現代短歌の可能性を追求し続けています。

吉川宏志は、現代短歌界において重要な役割を果たしている歌人であり、その今後の活躍にも注目が集まります。

外部リンクとして、以下のものが挙げられます。

シュガークイン日録3（ブログ）
塔短歌会

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