吉川実経

吉川実経の生涯

吉川実経（きっかわ さねつね）は、南北朝時代の武将で、安芸国の吉川氏の一門にあたります。彼は吉川経長の子として生まれ、当時の吉川氏宗家の当主である経盛や経秋のもとで育ちました。しかし、分家である石見吉川氏の台頭により、吉川氏全体の勢力は衰えていました。

実経は、家の存続をかけて一族の主力として戦う決意を固めました。元徳3年（1331年）、父経長から一部の所領を譲り受けたことにより、彼自身の武将としての歩みが始まります。

南北朝の混乱が続く中、実経は足利尊氏に従い、武田氏信と連携して建武2年（1335年）12月に挙兵します。彼は熊谷蓮覚、その子直村、甥の直統らが籠る矢野城を攻撃し、落城を成し遂げました。この戦闘の際、彼の一族の吉川師平が討死するという悲劇も起こりました。

建武3年（1336年）、尊氏が新田義貞に敗れると、実経は義貞側に転向します。しかし、その後しばらくして北朝側へ戻ります。興国4年/康永2年（1343年）には、上野頼兼や益田兼見、武田氏信と共に大多和城を攻撃し、しつこい攻撃の末に城を降伏させました。

正平5年/貞和6年、観応元年(1350年)には、石見国の御坂峠で高津長幸と戦い敗北を喫します。同年、再び武田氏信と共に寺原時親らが守る寺原城を降伏させ、その後も猿喰城を攻略しましたが、毛利親衡が籠城する坂城の攻略には失敗。その翌年、今川頼貞らの援軍によって南朝方から撃退されました。

正平7年/観応3年、文和元年（1352年）5月には、足利直冬の側についた毛利元春と激闘を繰り広げ、琴崎城を落城させることに成功します。元春は吉田郡山城に逃れましたが、翌月には降伏しました。

正平18年/貞治2年（1363年）には、所領を息子の虎熊丸に譲りましたが、息子は早くに亡くなってしまいます。その後、彼は吉川経兼の子、経見を養子として迎え入れ、吉川家の家督を継がせました。

実経の生涯は、南北朝時代の tumultuousな時代背景の中で、家族と家の存続のために尽力したものです。戦や転機を重ねながら、彼は吉川氏の一門として地域社会に影響を与えていきました。吉川実経の物語は、戦国時代への道を築く重要な一章として、後の歴史においても語り継がれています。

もう一度検索