吉田郡山城

吉田郡山城について

概要

吉田郡山城（よしだこおりやまじょう）は、広島県安芸高田市に位置し、戦国時代に毛利氏の重要な居城であった日本の城です。この城は、可愛川と多治比川に挟まれた吉田盆地の北に位置し、自然の地形を活かした防御的な構造が特徴です。

吉田郡山城は、初め小規模な砦として築城され、その後に毛利氏の勢力拡大に伴い、大規模な要塞へと発展しました。毛利輝元が広島城へ移るまでは、この城が居城となりました。

歴史

室町時代まで

吉田郡山城の築城時期については明確ではありませんが、城内にある祇園社の創建が1325年以前であることから、それ以降に築かれたと考えられています。毛利氏の初代当主である毛利時親が南下してこの地に地頭職を得たのは1336年のことであり、城の歴史はこの時期に始まります。

毛利元春が「吉田城」として籠もった記録が残るものの、この城が現在の郡山城と直接つながるのかは確かではありません。この城が本格的に拡張を始めたのは、毛利元就が入城する1523年以降であり、彼の晩年には城域が大きく変化しました。

安土桃山時代

毛利元就の死後、その子孫たちによって更なる拡張と整備が進められました。城内には元就や嫡子の毛利隆元、重臣たちの館もあり、平時には居館、戦時には城郭としての機能を果たすようになりました。毛利輝元の時代には、近代的な石垣や瓦葺きの城郭へと進化しました。

しかし、天正19年（1591年）には広島城が完成し、毛利氏の本拠地としての役割を終え、吉田郡山城は実質的に廃城となりました。この時期、堀は埋められ、交通の便の良い広島城に移転することとなりました。

江戸時代

江戸幕府の一国一城令により、1615年に吉田郡山城は取り壊されました。その後、キリシタンの決起を恐れた幕府によって石垣や堀も急速に撤去されることとなります。幕末には、広島藩の支藩として広島新田藩が設立され、吉田郡山城の麓に陣屋が置かれました。

現代

1940年に吉田郡山城跡は国の史跡に指定され、歴史的価値が再認識されることになります。1988年、この城跡は多治比猿掛城跡とともに「毛利氏城跡」として国の文化財に指定されました。また、1990年には安芸高田市歴史民俗博物館が開館し、毛利氏に関する資料が公開されています。

構造

吉田郡山城の構造は、約390メートルの山頂から放射状に広がる270以上の曲輪からなる複雑な縄張りが特徴です。城は内堀や外堀に囲まれ、南に内堀、西に大通院谷といった自然の隙間を利用した防衛線が構築されています。

本丸は郡山山頂に位置し、北端には櫓台が設けられ、周囲を二の丸や三の丸が取り囲む形になっています。これらの曲輪は、毛利元就の屋敷や兵糧庫としての役割を果たしていたとされ、過去の重要な歴史の舞台となりました。

現地情報

吉田郡山城跡は広島県安芸高田市吉田町に位置し、訪れる際には安芸高田市歴史民俗博物館から徒歩で山を登る必要があります。周辺には公園や駐車場もあり、訪問者が歴史を学ぶための良い環境が整っています。

吉田郡山城は、毛利氏の歴史を感じることができる貴重な遺産であり、訪れる価値のある場所です。

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