毛利元春

毛利元春（もうり もとはる）

毛利元春は、南北朝時代から室町時代にかけての安芸国の国人であり、安芸国吉田荘の地頭職を務めました。

生涯

曽祖父・時親の代官として、足利尊氏に一貫して従い、その忠勤が認められました。13歳で元服した際には、足利家執事の高師直の兄弟である師泰から一字を拝領し、「師親（もろちか）」と名乗りました。しかし、正平6年/観応2年（1351年）に師泰が没落した後は、元春と改名しています。

祖父の貞親、父の親衡は南朝に従って越後国南条荘にて活動し、一族間で対立が生じました。後見役であった時親は、争乱の最中の興国2年/暦応4年（1341年）に没し、安芸国吉田荘の支配は元春が引き継ぐことになりました。

19歳で家督を相続した元春は「郡山殿」と呼ばれるようになります。南朝方の一族を退け、九州探題・今川了俊に従って九州へ下向し、北朝方として戦いを繰り広げました。その間、敵対関係にあった父・親衡が、九州の南朝方勢力や周防国の大内弘世などと結び、九州出陣中の元春の領地へ侵攻するという事態も発生しました。

元中2年/至徳2年（1385年）には、嫡子の広房が安芸国西条にて討死するという悲劇に見舞われました。これにより、孫の光房に跡を継がせ、その成長を後見することになります。

元春の時代前後から、庶子家が派生し始めました。兄弟の坂氏・有富氏、庶子の麻原氏・中馬氏・福原氏などが生まれ、さらに坂氏から桂氏・光永氏・志道氏などの庶流家が生まれました。これらの庶家は、内訌と協力を繰り返しながら、後に戦国大名としての毛利氏を支える一門家臣へと発展していきます。

参考文献

河合正治『安芸毛利一族』新人物往来社、1984年11月。ISBN 440401239X。
國司由行 著「國司家に伝わる元就公からの感状」、新人物往来社 編『「毛利一族」のすべて』新人物往来社〈別冊歴史読本, 92 . 一族シリーズ〉、1997年3月、35頁。ISBN 4404024665。
東京帝国大学文学部史料編纂所 編「第15号」『大日本古文書』 家わけ八ノ一 毛利家文書之1-4、東京帝国大学、1920年11月30日。
時山弥八編『国立国会図書館デジタルコレクション 稿本もりのしげり』1916年。
防長新聞社山口支社 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。
復刻版 田村哲夫編修 編「本家萩毛利家」『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修（復刻版）、マツノ書店、1980年11月。

もう一度検索