吉村萬治郎

吉村萬治郎：古河財閥を支え、富士通を創業した実業家

吉村萬治郎（1886年3月22日 - 1969年5月23日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家です。古河財閥の副総帥、古河鉱業（現在の古河機械金属）の社長、そして富士通信機製造（現在の富士通）の創業者兼初代社長として、日本の産業界に多大な貢献をしました。古河財閥の創始者である古河市兵衛の大甥にあたります。

生涯

京都府で生まれた吉村萬治郎は、古河市兵衛の実兄である木村万治郎の孫にあたります。父親は木村長兵衞でした。古河家の一族である中川末吉らと共に、財閥解体まで古河財閥の要職を歴任しました。古河財閥総帥の古河虎之助は、妻の兄にあたる義兄でした。

1908年（明治41年）に慶應義塾普通部を経て、慶應義塾大学部法律科を卒業しました。1911年（明治44年）には、合名会社古河鉱業の鉱業部門が分離独立する形で古河鉱業株式会社が設立され、古河虎之助、木村長七とともに、吉村も出資者となりました。

1915年（大正4年）に古河合名会社に入社し、1916年（大正5年）には古河銀行の設立に携わりました。1917年（大正6年）には、持株会社である古河合名商事部門（古河商事）の専務取締役を経て、後に副社長に就任しました。1921年（大正10年）には、古河合名鉱業部門（古河鉱業）の社長に就任し、その後古河財閥の代表社員となりました。

1931年（昭和6年）には、古河財閥とドイツのシーメンス社の合弁により、富士電機製造（現在の富士電機ホールディングス）の社長に就任しました。そして、1935年（昭和10年）には、通信機部門を分離させて富士通信機製造株式会社（現在の富士通）を創業し、初代社長に就任しました。同時に、生え抜きの梶山秀男と和田恒輔が取締役に昇格しました。

第二次世界大戦後の1946年（昭和21年）には、公職追放令に基づき追放指定を受けました。その後、経済団体連合会の理事などを務め、1969年（昭和44年）に83歳で亡くなりました。

家族

吉村萬治郎の家族構成は以下の通りです。

祖父：木村萬治郎（古河市兵衛の兄）
父：木村長兵衞（足尾銅山鉱長）
兄：鈴木市之助（旭電化工業社長）。木村長兵衞の二男として生まれ、先代の鈴木エイの養子となる。慶應義塾大学部理財科を卒業後、コロンビア大学・エール大学に留学し、帰国後古河合名会社入社。
姉：中川とみ。5歳で古河市兵衛の養女となり、中川末吉に嫁いだ。末吉は古河電気工業社長、横浜護謨製造社長。
妻：吉村鶴（古河市兵衛の娘）
長女：古河幸子。夫は古河従純（西郷従徳二男）。
相婿：小田川芳朗（小田川全之二男）。市兵衛の娘・照子の夫


吉村萬治郎は、激動の時代において、古河財閥の中核を担い、日本の産業発展に大きく貢献しました。特に、富士通の創業は、日本の情報通信産業の礎を築いたと言えるでしょう。彼の功績は、今もなお高く評価されています。

参考文献

『鉱砿業篇。近代日本経済人大系 第8巻』 松下傳吉 ISBN 4820599704

外部リンク

* 企業指針:富士通

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