吉林市

吉林市：歴史と自然が織りなす魅力的な都市

吉林市は、中国東北部、吉林省の中央に位置する地級市です。省都の長春市に次ぐ第二の都市であり、約452万人の人口を抱えています。松花江（スンガリ川）が市内を流れ、古くから水運と造船業が発展してきました。この豊かな歴史と文化から、国家歴史文化名城にも指定されています。

地理

吉林市は、松花江の中流に位置し、東は延辺朝鮮族自治州、西は長春市と四平市、北は黒竜江省、南は白山市と通化市に接しています。松花江は北に流れ、アムール川と合流して日本海へと続く水路です。このため、古くから水運が盛んであり、造船業も発展しました。周囲を山々に囲まれた盆地のような地形であり、自然豊かな環境に恵まれています。

気候

吉林市は、顕著な大陸性気候に属しており、四季の寒暖差が大きいです。冬は非常に寒く、1月の平均気温は零下8度から零下20度まで下がることもあります。一方、夏は比較的温暖で、7月の平均気温は21度から23度ですが、最高気温は36度に達することもあります。

歴史

市名の「吉林」は、満洲語で「川沿いの村」を意味する「吉林烏拉（girin ula）」に由来します。この地は、かつて女真族のウラ部が支配しており、ウラ国と称されていました。17世紀初頭にはヌルハチの支配下に入り、後金の領地となりました。その後、清朝時代には吉林城が建設され、行政の中心地としての役割を担いました。中華民国時代には一時的に吉林県や永吉県となりましたが、満洲事変後に満洲国が建国されると、吉林省の公署が置かれました。国共内戦を経て、1948年に中国共産党の支配下となり、吉林省政府が延吉市から移転してきました。

民族

吉林市の人口構成は、漢民族が90.51%を占めており、残りの9.49%が少数民族です。特に満洲族が約22.5万人、朝鮮族が約16.2万人と多く、満族郷や朝鮮族郷も存在します。これらの民族文化が、この地域の多様性を形作っています。

行政区画

吉林市は、4つの市轄区（船営区、昌邑区、竜潭区、豊満区）、4つの県級市（磐石市、樺甸市、蛟河市、舒蘭市）、そして1つの県（永吉県）を管轄しています。

年表（主な出来事）

1949年：中華人民共和国吉林省吉林市が発足
1950年代：行政区画の整理と変更が頻繁に行われる
1958年：周辺の県を編入
1966年：永吉専区が成立し、周辺の県が編入される
1982年：永吉地区が成立し、再び周辺の県が編入される
1980年代後半から1990年代：県が市制施行により県級市に移行

交通

吉林市へのアクセスは、主に長春龍嘉国際空港を利用します。鉄道は吉林駅があり、長琿都市間鉄道や瀋吉線などを利用して、長春や瀋陽方面への移動が可能です。市内交通はバスやタクシーが便利です。高速道路も整備されており、周辺都市へのアクセスも容易です。

経済

吉林市は、国家級ハイテク産業開発区や経済技術開発区を有しており、工業や商業が盛んです。2003年の生産総額は600.1億人民元に達し、一人当たり生産総額も13,808元と経済成長を遂げています。

研究・高等教育機関

市内には、北華大学、東北電力大学、吉林医薬学院、吉林化工学院など、多くの高等教育機関があります。

見どころ

吉林市には、美しい自然や歴史的な観光地が豊富です。

松花江の霧氷は、冬の風物詩として有名です。
松花湖は、美しい湖畔の景観を楽しむことができます。
烏拉街満族鎮は、満族の伝統文化に触れることができる場所です。
吉林八景は、清朝時代に選ばれた美しい景勝地です。

スポーツ

2007年には、アジア冬季競技大会が吉林で開催され、北大湖スキー場では山岳系の競技が行われました。

友好都市

吉林市は、日本、北朝鮮、ロシア、ウクライナ、スウェーデン、アメリカ合衆国など、様々な国と友好都市提携を結んでいます。

日本：気仙沼市、山形市、松江市
北朝鮮：平壌直轄市万景台区域
ロシア：ヴォルゴグラード、ナホトカ
ウクライナ：チェルカースィ
スウェーデン：エステルスンド
アメリカ合衆国：スポケーン

吉林市は、豊かな歴史と文化、美しい自然が共存する魅力的な都市です。多様な民族文化や、四季折々の風景を楽しめるこの街を、ぜひ訪れてみてください。

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