吉見元頼

吉見元頼の生涯

吉見元頼（よしみ もとより）は、安土桃山時代に活躍した武将で、毛利氏の家臣でした。彼の父は石見国鹿足郡津和野の三本松城に本拠を構えていた国人・吉見広頼です。元頼は天正3年（1575年）、父の嫡男として誕生しました。彼は、その後、吉川元春の娘である雪岩秀梅を正室として迎えました。

文禄の役への出陣

天正20年（1592年）4月から始まった文禄の役では、元頼は病気の父に代わり出陣します。出陣に際し、重臣の下瀬頼直に命じて陣中での日記を記録させていたことで、吉見軍の動向を知ることができます。元頼は津和野を出発し、長門国の指月城や周防国の山口を経由し、関門海峡を渡りました。そして4月13日に肥前国名護屋に到着しました。

彼は姉の夫である毛利元康の部隊に加わり、4月18日に呼子浦から出航し、壱岐国、対馬国を経て、5月3日に釜山に上陸します。元頼は朝鮮半島各地で戦った後、文禄2年（1593年）1月26日に行われた碧蹄館の戦いでは活躍し、自身も首を挙げるなどの功績を残しました。この戦いの功績に対し、毛利輝元は同年の6月3日に元頼を称える書状を送っており、『吉見家譜』でも「勲功抜群也」と評価されています。

正室の死去

しかし、同年3月8日、元頼のもとに津和野から吉見氏の家臣が到着し、正室の雪岩秀梅が前年の11月に死去したことが伝えられました。これを受けて元頼は深い悲しみに暮れ、姿を崩した様子が下瀬の陣中日記によって記されています。元頼は妻を偲んで歌を詠み、その哀しみを表現しました。

4月2日には、明との講和交渉が始まり、毛利軍全体に帰国の命令が出されました。そして、4月7日には陣中日記の記録も追いつき、元頼は斬新な戦士としての役目を終えました。

帰郷とその後の生活

文禄3年（1594年）5月中旬、元頼は津和野に帰還したものの、長い出陣生活で体調を崩してしまいました。5月25日、三本松城での猿楽能の興行を楽しんでいましたが、見物途中で容体が急変し、6月4日に20歳という若さで亡くなりました。葬儀は津和野の永明寺で行われましたが、現在その墓の場所は不明とされています。

元頼の死後、吉見氏の家督は彼の弟である広行（後の広長）が引き継ぎました。このように、元頼の生涯は短いながらも戦功や家族への思いで溢れたものでした。

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