吉見広頼

吉見広頼

吉見広頼（よしみ ひろより）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将です。毛利氏の家臣として、石見国津和野城主を務めました。

出自

石見吉見氏は、清和源氏の流れを汲む名門・吉見氏の傍流にあたります。その遠祖は、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の弟である源範頼とされています。

生涯

吉見広頼は、吉見正頼の子として生まれました。毛利氏の当主より、祖先である大江広元の名から一字を授けられ、「広頼」と名乗ります。

父・正頼が陶晴賢と対立した際、広頼は人質となりましたが、厳島の戦いで晴賢が敗死したことで解放されました。永禄6年（1563年）の初陣では、出雲国白鹿城攻めで本田豊前守を討ち取るという武功を挙げました。初陣後、毛利隆元の娘・津和野局を正室に迎えますが、彼女に先立たれたため、内藤隆春の娘・河原殿を継室としました。

天正7年（1579年）には備後国・美作国へ出陣し、天正10年（1582年）の備中高松城の戦いにも参加しました。同年、父から家督を譲り受けます。病弱であったため父ほどの信任は得られませんでしたが、毛利氏への忠義を尽くし、天正14年（1586年）の九州平定では吉川元春・小早川隆景らと共に九州へ従軍し、豊前国香春岳城攻めで功績を挙げ、豊臣秀吉から感状を授かりました。

天正18年（1590年）の小田原征伐では、毛利水軍に加わり、伊豆国下田城を攻略しました。文禄・慶長の役には病のため出陣できず、代わりに嫡男・元頼が朝鮮へ渡りましたが、文禄3年（1594年）に元頼が津和野で病死、翌年には継室も亡くなるという不幸に見舞われました。

慶長2年（1597年）には次男・広長を朝鮮へ派遣し、翌慶長3年（1598年）に広長へ家督を譲り隠居しました。しかし、広長は毛利氏に反抗的な態度を取り、慶長4年（1599年）に出奔したため、広頼は当主に復帰し、広長の帰参に尽力することになります。広長は慶長5年（1600年）に関ヶ原の戦いで毛利氏が減封されると、広頼も津和野を離れて萩へ移り住みました。

慶長9年（1604年）に広長が再び出奔し、娘たちも相次いで亡くなるなど、晩年は不遇でした。慶長17年（1612年）、吉川広家の次男を婿養子に迎え、吉見政春と名乗らせました。翌慶長18年（1613年）に死去。

広頼の死後、広長は帰参し家督を継ぎましたが、元和4年（1618年）に毛利輝元に討たれ、吉見氏は断絶しました。政春は後に大野毛利家を興し、毛利就頼と改名しました。

系譜

父：吉見正頼（1513-1588）
母：大宮姫（?-1577） - 大内義興の娘
正室：津和野局 - 毛利隆元娘
長女：矢野局 - 河野通直室、のち末次元康継室
女子：正岫寿覚（?-1578）
継室：河原殿 - 内藤隆春娘
長男：吉見元頼（1575-1594）
男子：吉見広長（1582-1618）
側室：光井勝良娘
生母不明の子女
女子：珠光院 - 益田広兼正室
女子：宍道元信室
女子：天野元景室
女子：毛利就頼正室
養子
男子：毛利就頼（1607-1676） - 吉川広家の次男

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