湧水町

鹿児島県湧水町：豊かな自然と歴史が織りなす魅力

湧水町は、鹿児島県の中北部、鹿児島市の北東約70kmに位置する町です。九州山地と霧島連峰に抱かれた盆地で、姶良郡に属しています。南九州特有の多雨な気候ですが、盆地特有の地形から、冬場は南九州としては比較的寒冷で、夏冬、昼夜の寒暖差が大きいです。川内川や天降川が流れ、栗野岳や国見岳などの山々に囲まれた、自然豊かな環境です。

歴史と文化

2005年3月22日、旧吉松町と旧栗野町が合併して湧水町が誕生しました。町名は、竹中池や丸池などから湧き出る豊富な湧水に由来しています。吉松はかつて鉄道の町として栄え、その歴史は町の景観にも反映されています。現在も、吉松駅と栗野駅には特急はやとの風が停車し、アーチ煉瓦暗渠や石倉、保存車両などの近代化産業遺産が残されています。1988年まで運行していた山野線は、町の交通の歴史を物語る重要な存在でした。

一方、栗野は温泉郷として知られ、古くから人々の暮らしを支えてきました。歴史的な建造物や、豊かな自然に恵まれた景観は、多くの観光客を魅了しています。

自然と観光

湧水町は、美しい自然にも恵まれています。日本名水百選に選ばれた霧島山麓丸池湧水、日本棚田百選の幸田の棚田、疏水百選の筒羽野の疏水など、数々の自然遺産が存在します。ヒガンザクラやノハナショウブの自生南限地など、希少な植物も観察できます。

観光スポットとして、沢原高原、池平公園、竹中池公園（そうめん流しや町営プールあり）、永山古墳群、松尾城跡、霧島アートの森、日本一の枕木階段、鹿児島茶発祥の地（般若寺）、吉松温泉郷、栗野岳温泉などがあります。また、魚野峠パラグライダー基地や、温泉と図書館を併設する「いきいきセンターくりの郷」など、様々な施設が整備されています。

町内では、栗野岳高原まつり（5月、11月開催）や星の散歩道（二渡イルミネーション、12月1日～1月7日開催）などのイベントも開催され、多くの観光客で賑わいます。

行政と経済

町長を筆頭に、町議会議員12名で構成される議会があります。行政機関は栗野庁舎（総務部門）と吉松庁舎（議会・教育委員会）の分庁舎方式です。警察署や地域振興局などの県の行政機関、そして鹿児島刑務所などの国の行政機関も置かれています。

主な企業としては、えびの電子、TAA南九州、株式会社ニシキ、地元のスーパーマーケット、ホームセンターなどが進出しています。

交通

町内には空港はありません。最寄りの空港は鹿児島空港で、車で約30～40分かかります。鉄道はJR九州肥薩線と吉都線が通っており、吉松駅と栗野駅は特急はやとの風の停車駅となっています。バス路線としては南国交通が運行する路線バスと、町内を100円で巡回するコミュニティバス「湧水ふるさとバス」があります。道路は九州自動車道が通り、吉松パーキングエリアと栗野インターチェンジがあります。国道268号などの一般国道や、主要地方道も整備されています。

教育

高等学校は、かつて存在した鹿児島県立栗野工業高等学校が2010年に閉校しています。中学校、小学校、幼稚園、保育園などが複数存在します。

姉妹都市・提携都市

北海道美幌町と、スカイスポーツをきっかけとした交流があります。

湧水町を舞台にした作品

椋鳩十の『大造じいさんとガン』、『栗野岳の主』、緑川ゆきの『夏目友人帳 伍』、トネ・コーケンの『スーパーカブ』など、多くの作品で湧水町が舞台として描かれています。


湧水町は、豊かな自然、歴史、文化が調和した魅力的な町です。訪れる人々を、その温かさで迎え入れてくれるでしょう。

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