名古山霊苑

名古山霊苑：歴史と文化が息づく霊園

兵庫県姫路市に位置する名古山霊苑は、1954年4月に開苑した市営の墓地公園です。姫路城から北西へ約1キロメートル、名古山の山頂一帯に広がり、葬儀会場、斎場、寺院、慰霊碑などを備えた大規模な施設となっています。

歴史と由緒

名古山霊苑は、単なる墓地公園にとどまらず、歴史的、文化的にも重要な場所です。戦没者の慰霊施設として整備され、三代目桂米朝氏や高田賢三氏など、著名人の墓所も数多く存在します。また、敷地内には弥生時代中期の集落跡である名古山弥生式住居跡があり、姫路市の史跡に指定されています。この遺跡の存在は、名古山霊苑の歴史が、遥か古代にまで遡ることを示唆しています。

壮麗な仏舎利塔

霊園のシンボル的存在である高さ37メートルの仏舎利塔は、1960年に落慶式を迎えたものです。設計は大岡実氏（当時横浜国立大学教授）が担当。1954年にインドのネルー首相から贈られた仏舎利を納め、内部は精緻な仏教美術で装飾されています。鳳凰が描かれた天蓋の下には、雲中観音、釈迦三尊、十大弟子の立像が安置されています。2014年から2015年にかけて、老朽化した仏像の修復が行われ、その荘厳な姿がよみがえりました。

仏舎利塔の建設には、姫路市が約1億3400万円の費用を投じました。建設費用の会計処理に関する問題をきっかけとして、住民監査請求などが行われた結果、姫路仏舎利塔建設協会は解散し、施設は姫路市に寄付されました。その後、名古山霊苑協会が管理運営を引き継いでいます。

その他の施設と歴史

名古山霊苑には、仏舎利塔以外にも、日清・日露戦争、そして第一次世界大戦の戦没者を祀る陸軍墓地が存在します。この墓地には、日清・日露戦争以降の戦没者の遺骨が納められています。また、第一次世界大戦で捕虜となったオーストリア・ハンガリー帝国海軍兵士3名の墓も設けられています。さらに、姫路市名誉市民に選ばれた4名（石見元秀、吉田豊信、三代目桂米朝、高田賢三）の墓所もあります。

アクセスと入場料

名古山霊苑へのアクセスは、JR姫路駅から神姫バス今宿循環線を利用し、「車崎」バス停で下車、徒歩15分です。毎月8日（4月を除く）には、名古山霊苑行きの臨時直通バスも運行されています。仏舎利塔の入場料は大人200円ですが、ひょうごっ子ココロンカード、どんぐりカード、姫路市高齢者福祉優待カードの提示で無料となります。

年間の主な行事

名古山霊苑では、毎月8日に月例法要と宗教講話、2月8日（または15日）に涅槃会、4月8日に名古山まつり、8月8日に清掃奉仕、12月8日に成道会など、様々な行事を通して、故人を偲び、霊園の歴史と文化を継承する活動が行われています。

まとめ

名古山霊苑は、単なる墓地公園を超えた、歴史と文化、そして自然が調和した貴重な場所です。訪れる人々に静寂と安らぎ、そして歴史への深い触れ合いを提供しています。その歴史的価値を改めて認識し、将来にわたり大切に継承していく必要があります。

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