名越切通

名越切通について

名越切通（なごえきりどおし）は、神奈川県鎌倉市の南東部から逗子市にかけての古道であり、鎌倉七口の一つとして知られています。この道は、国の史跡として指定されており、歴史的な価値が高い場所です。かつては鎌倉と三浦半島を結ぶ重要な道路の一部であり、江戸時代や中世においても主要な交通路の一つとして利用されていましたが、現在は周囲を通るJR横須賀線や神奈川県道311号により、交通路としては利用されていません。

歴史的背景

名越切通は、戸塚宿から鎌倉を経て浦賀へと続く浦賀道の一部であり、鎌倉から三浦半島へと繋がる数少ない陸路のひとつでした。この道名「名越」は、険しい地形から「難越」と呼ばれていたことに由来するとも言われています。記録に名越坂の名が初めて登場するのは、1323年の『吾妻鏡』においてです。これにより、既に重要な交通路としての位置づけがされていたことが窺えます。

江戸時代の史料『新編鎌倉志』には名越切通に関する詳細が記述されており、鎌倉と逗子の交通の要所としての役割が強調されています。

アクセスと周辺の景観

現在、鎌倉側から名越切通にアクセスするには、神奈川県道311号が名越踏切近くで旧道に入り、日蓮乞水を経て進むことが可能です。ここから、山に入る道が続いており、その道は名越トンネルの上部から横の山道へと続いています。道の途中には庚申塔があり、古の道を行く感覚を感じさせてくれます。

登り始めると、左右には平場があり、左手の小道は「大切岸」へと続き、鎌倉逗子ハイランドや衣張山へと繋がっています。また、名越切通には多くのやぐら（横穴式墳墓）がある「まんだら堂やぐら群」が存在し、歴史的な価値が認められています。

名越切通の調査と評価

近年の調査では、名越切通の道は直接的には近代の道路として整備されておらず、古い時代の山道として残されています。独特の地形や崖面が特徴であり、中世の防衛遺構としての価値を持っています。2000年には部分的なトレンチ調査が行われ、路面下に過去の補修跡が確認され、江戸時代以降の使用跡が明らかになりました。

また、切通しの狭い部分はその防衛的な機能を表しており、通行するには人一人がかろうじて通れる狭さとなっています。このような特徴から、名越切通も創設当初からさまざまな変遷を経てきたことがわかります。

近隣の名所

名越切通の周辺には「まんだら堂やぐら群」や「お猿畠の大切岸」などの史跡も多く存在します。「まんだら堂」の地名にちなむやぐら群は、鎌倉周辺でも有数の規模を誇ります。さらに、大切岸はその地形と構造が鎌倉の防衛の要であったことが考証されています。

また、法性寺は名越の南側にあり、日蓮宗の寺院として重要な歴史を持つ場所です。日蓮がこの寺院で避難した伝承も残されています。

結論

名越切通は、鎌倉市と逗子市を繋ぐ歴史深い路であり、多くの歴史的遺構とともに地域の文化を語ります。その仕組みや地形は、かつての人々の生活と防衛の知恵を今に伝えており、訪れる人に歴史の重みを感じさせる貴重な場所です。

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