吾彦

吾彦（ご げん）について

吾彦は、三国時代から西晋にかけて活躍した武将であり、呉と西晋に仕えた重要な人物です。彼の名前は士則という字を持ち、揚州呉郡呉県に生まれました。歴史書『晋書』に彼の伝が記されており、息子は吾咨という名が知られています。また、彼の名前は一部の史書では呉彦とも記されています。

経歴

呉の時代

吾彦は、呉王朝に仕官した初期には通江吏として働いていましたが、次第に出世し、下級武官として大司馬陸抗の配下に組み込まれました。彼は多くの昇進を経て、最終的には建平太守にまで上り詰めました。

鳳凰元年（272年）の夏、晋の王濬が呉への攻撃を計画していることを察知した吾彦は、呉帝孫晧に進言しました。彼は防備を強化するよう訴えましたが、これが受け入れられなかったため、独自に長江に鉄鎖を設置し、進攻路を封鎖しました。

同年の秋に西陵が反乱を起こし、陸抗がその奪回のために軍を起こした際、吾彦は彼に従い西陵を奪還する戦に参加しました。この功績によって、彼は地位を確立しました。

天紀3年（279年）11月には、晋軍が複数の方面から呉を攻めてきましたが、吾彦は城を守り、その奮闘によって敵軍を退却させました。しかし、天紀4年（280年）に孫晧が晋に降伏すると、吾彦も降伏を余儀なくされました。

西晋の時代

晋に入城した後、吾彦は武帝に重用され、初めて金城太守に任じられ、その後敦煌太守に昇進しました。彼はその重鎮としての統治において高く評価され、さらに雁門太守へとキャリアを進めました。

また、内史として司馬暢の元で働くことになりましたが、彼は内史に対して厳しい態度をとる人物でした。しかし、吾彦はその清廉さによって、司馬暢の誣告から逃れることに成功しました。それでも、司馬暢は彼を疎ましく思い、上位の職へと置くことで彼を遠ざけようとしました。

太熙元年（290年）には交州刺史に任命され、次第にその威信を高め、20年以上にわたりこの地を治めました。彼の良政は広く評価され、交州は平穏な時代を迎えました。

永嘉元年（307年）には、息子吾咨を寧州に派遣し、後に自身も中央に戻ることに決めました。彼はこの職に就いている最中に死去しました。

人物像

吾彦は貧しい出身でしたが、その際立った文武の才能により高い地位を築きました。身長は八尺（約193.6cm）あり、その力は虎に例えられるほどでした。猛獣と戦うことができるほどの腕力を持っていたと伝えられています。

逸話

彼が呉に仕官したばかりの頃、他の将軍たちの威容を見て憧れ、自身の境遇に嘆いたことがあるという。その際、単に占いを行う劉札から「いずれあの地位に至るだろう」と告げられた逸話も残っています。

陸抗の配下となった際には、彼の勇ましさが評価され、ある宴の場で密かに試され、その状況の中でも逃げずに立ち向かったことから人々は彼の度胸に感心しました。この出来事が彼の昇進につながったとも言われています。

武帝に呼ばれた時、呉が滅んだ理由を問われ、吾彦は冷静に反論し、当時の政権の限界を語ったことが武帝の感心を引きました。こうした彼の姿勢は、単なる戦の武将に留まらず、智恵と清廉さを兼ね備えた指導者としての資質を示しています。

今回紹介した吾彦の功績や逸話は、彼の戦争での奮戦とともに、身を持って運命に立ち向かっていく姿勢を明確に表しています。彼の名は現在も多くの人に語り継がれています。

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