呂震

呂震（りょ しん）は、明代の官僚であり政治家として知られています。字は克声（こくせい）といい、京兆府臨潼県（現在の陝西省西安市臨潼区）の出身です。1365年に生まれ、1426年に62歳で亡くなりました。

生涯

呂震は呂子節（りょしせつ）と蓋氏（がいし）の間に生まれました。1386年、郷里の推薦で太学に入学し、そこで学問を修めました。当時、太学生は地方の州県に派遣され、税制の公平化に尽力するよう命じられており、呂震も両浙（現在の浙江省と江蘇省南部）に赴きました。南京に戻って洪武帝に報告したところ、その能力を認められ、山東按察司試僉事（さんとうあんさつししけんじ）に抜擢されました。その後、中央に戻り戸部主事（こぶしゅじ）となり、さらに北平按察司僉事（ほくへいあんさつししけんじ）に転じました。

1399年、燕王朱棣（後の永楽帝）が反乱を起こすと、呂震は朱棣に降伏しました。その後、燕王の世子である朱高熾（後の洪熙帝）に近侍し、北平の守備を任されました。1403年には真定府知府（しんていふちふ）に任命され、その後、中央に戻り大理寺左少卿（だいりじさしょうけい）となりました。1404年には大理寺卿（だいりじけい）に進み、1405年には刑部尚書（けいぶしょうしょ）、1408年には礼部尚書（れいぶしょうしょ）に転じました。

永楽帝の治世中、呂震は何度か儀式に関する進言をしましたが、受け入れられなかったこともありました。例えば、1413年に曹県（そうけん）が騶虞（すうぐ）という瑞獣を献上した際、祝賀を行うよう進言しましたが、却下されました。また、1414年と1415年に榜葛剌国（バングラデシュ）と麻林国（マリンディ）から麒麟が献上された際にも、祝賀の儀式を提案しましたが、同様に却下されました。1416年には封禅（ほうぜん）の儀式を行うよう進言しましたが、これも聞き入れられませんでした。

1422年、皇太子朱高熾が監国を始めると、呂震の娘婿である張鶴（ちょうかく）が儀礼上の失敗を犯しましたが、皇太子は呂震のために張鶴を許しました。しかし、この件を知った永楽帝は怒り、呂震と蹇義（けんぎ）を逮捕しました。1423年、呂震は釈放され、礼部尚書に復帰しました。1424年、永楽帝が亡くなると、呂震は遺詔に従い、喪服を解く際に烏紗帽（うさぼう）と黒角帯（こくかくたい）に着替えるよう群臣に提案しましたが、反対されました。近臣から、徐皇后が亡くなった際に永楽帝が喪服を解いた際、素冠（そかん）と布腰絰（ふようきょう）に着替えたという事例を指摘されると、呂震は顔色を変えて反論しました。

洪熙帝が即位すると、呂震は大理寺卿を兼任し、その後、太子少師（たいししょうし）、太子太保（たいしほ）と昇進し、礼部尚書を兼ねました。1425年、洪熙帝が各地に祭祀を行う使者を派遣した際、呂震は周の文王・武王・成王・康王を祀りたいと申し出ました。しかし、途中で帰省し、母親に会う際に、妻の棺と祭祀用品を同じ荷物に積むという公私混同の行動をとりました。1426年、呂震は太廟で祭祀を行った後、西番僧舎で大酔し、その夜に亡くなりました。

子女

呂震には多くの子がいました。

呂熊（りょゆう）：宣徳帝の即位後、呂震は息子のために何度も官位を求め、宣徳帝は彼を兵科給事中（へいかきゅうじちゅう）に任命しました。
呂禎（りょてい）
呂燾（りょとう）
呂杰（りょけつ）
呂然（りょぜん）
呂氏（りょし）：薊州衛指揮（けいしゅうえいしき）劉源（りゅうげん）の妻
呂氏：戸部主事張鶴（ちょうかく）の妻
呂氏：横海衛指揮（おうかいえいしき）王貴（おうき）の妻

呂震は、明代の初期において重要な役割を果たした官僚の一人であり、その生涯は明朝の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索