呉班

呉班の生涯と役割

呉班（ご はん）は、三国時代の蜀漢において重要な武将として知られています。彼の字は元雄で、故郷は兗州陳留郡です。父の呉匡から受け継いだ豪胆な性格は、彼の人生に大きく影響を与えました。族兄には呉懿（呉壹）があり、彼は劉焉のもとで益州に入った後、蜀漢の重臣として活躍しました。呉班もまた、蜀漢の軍において重要な役割を果たしましたが、その前半生は明確には記録されていません。

劉備のもとでの出仕

呉班は、劉備に仕官することで生涯の転機を迎えます。彼は領軍職を任され、章武元年（221年）から222年にかけて蜀漢の呉侵攻に参加しました。この戦役では、馮習と共に戦い、敵軍の李異を打ち破ることに成功しました。さらに、劉備の命を受けて敵を挑発する囮役を務めましたが、これが失敗に終わり、敵将の陸遜に看破されることとなります（夷陵の戦い）。

北伐への参加と功績

建興9年（231年）には、名将諸葛亮の指揮の下で行われた第4次北伐に従軍します。この戦役では、司馬懿が諸葛亮の軍に攻撃を仕掛けてきた際に、魏延や高翔らと共に出撃し、見事に討伐に成功し、多くの敵兵を討ち取ることができました。この功績により、彼は蜀漢の軍の中でその名を知られることとなります。また、同年には食糧輸送失敗による李厳の免職問題にも関与し、諸葛亮からの弾劾状に名前が挙げられたことも特徴的です。

最後の地位と評価

のちに彼は驃騎将軍、仮節、綿竹侯の地位にまで昇進し、劉禅の治世の間も重要な役員として活躍し続けました。彼の功績は、多くの戦戦で見られ、特にその戦術的な判断と勇敢な行動が評価されています。

三国志演義の描写

著名な小説『三国志演義』では、呉班の名前は第65回で初めて登場します。本物の歴史をもとにしたこの作品において、彼は劉備の益州制圧に伴い、恩賞を受けた武将として描かれています。張飛の死後、彼の部下として再び登場し、劉備に張飛の暗殺を報告した後、夷陵の戦いでの戦闘に参加します。彼は蜀軍の先陣を務め、進行する中で敵軍を降伏させる活躍をしましたが、その結果として蜀軍は敗北を喫します。呉班もまた危機に直面しましたが、趙雲の援護によって白帝城へ逃げ延びることができました。

最期と影響

『三国志演義』内では正史よりも多くの登場シーンがあり、諸葛亮の北伐においても重要な役割を果たします。彼は多くの戦闘に参加し、様々な戦術を駆使して敵軍を撃退しましたが、最終的には第5次北伐でその命を失ってしまいます。呉班の戦士としての姿は、三国の時代を象徴するものの一つであり、その名は今日でも多くの人に語り継がれています。

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