呉賛周

呉賛周の生涯と業績

呉賛周（ご さんしゅう）は、1885年4月25日に誕生し、1949年10月2日にこの世を去った中華民国の軍人及び政治家である。彼は、北京政府において直隷派とみなされており、後に中華民国臨時政府や南京国民政府において重要な役割を果たした。ここでは、彼の初期の活動から最晩年に至るまでを詳述する。

初期の活動

呉は、保定講武堂を卒業後、日本に留学し、陸軍士官学校を修了した。帰国後は、孫伝芳の指導下で軍務に従事し、国民政府が進める北伐においては安国軍第2軍第6混成旅旅長として活動した。しかし、1926年に国民党の北伐軍に敗れた孫伝芳の部下として、呉は天津へ逃れざるを得なくなり、その後は故郷に戻った。

国民政府の成立後、呉賛周は正定県に駐屯していた国民革命軍による税金徴収や邸宅占用に対し、不満を募らせていた。彼は国民政府に対して恨みを抱くようになっていった。

日中戦争の影響

その後、盧溝橋事件を経て1937年10月、日本軍が正定県に侵攻してくる。呉賛周は、日本の北支那方面軍第1軍司令官であった香月清司と同学であった縁から、停戦交渉を行い、難しい状況を乗り越えた結果、日本軍に協力する立場に立った。このことが彼の後の政治的立場に大きな影響を与えることになる。

親日政権とその役割

1937年12月、王克敏が中華民国臨時政府を樹立すると、呉賛周もその一員に加わる。1938年2月には正定県政府が成立し、呉は県知事に就任。12月6日には保定道尹署理に昇進し、続けて河北省長代理を務めるなど、政治的地位を確立していった。1940年には南京国民政府に合流し、河北省長への重任を果たし、同時に華北政務委員会委員にも任命される。

1943年2月には、それまで彼が在籍していた華北政務委員会の組織変更に伴い、辞任・改任の対象にはならなかったものの、同年3月には河北省省長を退任し、後に高等警官学校校長として再任される。彼の昇進は、日中戦争が続く中での非常に複雑な政治情勢の中に位置づけられる。

戦後の運命

戦後、日本が敗北した後、呉賛周は蔣介石の国民政府によって漢奸（反逆者）として逮捕された。1946年には河北高等法院で無期懲役の判決が下され、収監されることとなった。さらに、中国人民解放軍による北平の接収後も監禁された状態が続き、1949年10月2日、癌により獄中にて65歳でこの世を去った。

まとめ

呉賛周の生涯は、軍人と政治家としての二重の顔を持ち、複雑な時代の中を生き抜いた人物として記憶される。彼が関与した歴史的出来事は、今なお中国の政治史における重要な一端を成している。

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