周磨駅

周磨駅は、北海道北部の宗谷地方、枝幸郡中頓別町字松音知に位置していた、かつての日本国有鉄道（国鉄）、後に北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の駅です。広大な原野の中に設けられ、昭和31年（1956年）に仮乗降場として開業。その後、天北線の廃止に伴い、平成元年（1989年）5月1日に廃駅となりました。

周磨駅の始まりは、国鉄が設置した周磨仮乗降場（昭和31年5月1日）でした。北見線の一部として設置され、昭和36年（1961年）4月1日には天北線の仮乗降場となります。長らく仮乗降場でしたが、国鉄分割民営化（昭和62年4月1日）に伴い、JR北海道の駅として旅客駅に昇格しました。しかし、天北線は特定地方交通線として廃止対象となっており、駅として機能したのはわずか2年。平成元年（1989年）5月1日、天北線の全線廃止とともに周磨駅も廃止されました。

廃止時点では、単式ホームが一つだけ設けられた地上駅でした。仮乗降場として誕生した経緯から、駅舎を持たない無人駅でした。広々とした原野の中に、ホームがぽつんと佇む姿が特徴でした。

駅名は、所在地の地区名および付近を流れる周麿川に由来します。これらの名前は、アイヌ語の「シュル=マル=ネプ」が転訛したものと考えられています。「シュル（石）・マル（山の中）・ネプ（川）」、つまり「石が（多い）山の中の川」といった意味合いを持つとされます。ただし、駅名に採用された漢字が、通常使われる「麿」ではなく「磨」となった経緯は不明です。「磨」は「ま」とは通常読まれない漢字であり、その表記が選ばれた理由は謎とされています。

周磨駅周辺は、まさに広大な原野が広がる地域です。近くには、重要な道路である国道275号（頓別国道）が通り、また頓別川が流れています。駅が廃止された後も、地域を走る宗谷バスの路線には「周麿」という名の停留所が残り、かつての駅の記憶をとどめています。

天北線が廃止されてから時が経ち、周磨駅があった場所は現在、再び自然に覆われています。駅舎はもちろんのこと、ホームがあった場所を含め、鉄道駅として存在したことを示すものは、残念ながら全く残されていません。かつての駅の姿を偲ばせるものは、何も見当たらない状況です。

天北線における周磨駅の隣駅は、稚内方面が敏音知駅、音威子府方面が松音知駅でした。周磨駅は、これらの駅間に位置していました。

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