周連星惑星

周連星惑星とは

周連星惑星（Circumbinary planet）とは、単一の恒星ではなく、連星系（複数の恒星が互いに重力で束縛され、共通の重心の周りを公転している系）の周囲を公転する惑星のことです。この用語は、太陽が単独の恒星であるため、太陽系外惑星に対してのみ用いられます。連星を構成する恒星の数は問われませんが、3つ以上の恒星からなる系では惑星の軌道が不安定になるため、周連星惑星が安定して存在できるのは二重連星に限られます。

観測と発見

確認された惑星

最初に発見された周連星惑星は、球状星団M4に属するPSR B1620-26系でした。この系は、ミリ秒パルサーと白色矮星で構成されており、1993年に連星を公転する第3の天体として惑星が報告されました。その後の観測により、この惑星は木星の2.5倍の質量を持ち、軌道長半径23 auの円に近い軌道で周回していることが判明しました。

2008年には、おとめ座HW星と呼ばれるB型準矮星と赤色矮星からなる食連星の周囲に、複数の惑星が存在することが報告されました。内側の惑星は少なくとも木星の8.47倍、外側の惑星は19.23倍の質量を持ち、公転周期はそれぞれ9年と16年です。外側の天体は、質量に基づいた定義では褐色矮星に分類される可能性がありますが、発見チームは軌道の性質から、この天体が原始[[惑星]]系円盤で形成された可能性を主張しています。これらの惑星は、元は質量が小さかったものの、連星の主星が赤色巨星へと進化する過程で質量を獲得したと考えられています。

2011年には、ケプラー宇宙望遠鏡の観測成果として、2つの恒星を周回するケプラー16bが発見されました。当初は単純な食連星系と見られていましたが、食が起きていない際にも光度が減少する現象が発見され、第3の天体である惑星の存在が示唆されました。その後、229日の周期で公転する土星サイズの惑星であることが確認されました。

2012年には、ケプラー47系において、2つの太陽を周回する2つの惑星が発見されました。さらに2016年には、ケプラー1647bという、既知の周連星惑星の中で最大級の大きさを持つ惑星が、太陽に似た2つの恒星を公転していることが確認されました。この惑星は、ハビタブルゾーン内に位置していることも特徴です。

その他の観測

1999年には、重力マイクロレンズ法を用いて、近接した連星系MACHO-1997-BLG-41の周囲に惑星が発見されたと報告されました。しかし、その後の研究により、惑星の存在の根拠とされた観測結果が連星自体の運動で説明可能であることが分かり、この報告は取り下げられました。

また、グリーゼ630.1と呼ばれる三重連星系の一部を構成するりゅう座CM星は、複数回にわたり系外惑星探査の対象となりました。食検出法による観測では惑星の存在が示唆されたものの確証は得られず、最終的にはすべての惑星候補の可能性が否定されました。その後、惑星の重力によって連星系の運動が変化し、食の間隔が変動するという方法で惑星を探す試みがなされましたが、2009年時点では惑星の存在を実証するには至っていません。ただし、連星の軌道が完全に円ではなく、楕円であることから、外側に巨大惑星または褐色矮星が存在する可能性も残されています。

周連星惑星の観測例は少ないものの、周連星円盤は複数の連星系で発見されており、恒星間の軌道長半径が3 au以下の連星系では一般的な現象だと考えられています。例えば、HD 98800と呼ばれる多重連星系では、67.6 au離れた2つの連星系が四重連星系を構成しています。そのうちHD 98800 Bと呼ばれるペアは、0.699太陽質量と0.582太陽質量の恒星が、軌道長半径0.98 au、軌道離心率0.785の楕円軌道で共通重心を周回しています。この連星の周囲には周連星円盤が存在し、連星の軌道面に対してほぼ垂直に傾いた複雑な構造をしています。一方、HD 98800 Aのペアには、有意な量の塵は観測されていません。

周連星惑星の一覧

（周連星惑星の一覧は、現時点では記載を省略します。最新の情報は、太陽系外惑星データベースなどで確認してください。）

フィクション中の周連星惑星

映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する惑星タトゥイーンは、近接した連星系の周りを公転する周連星惑星として描かれています。

まとめ

周連星惑星は、連星という複雑な環境の中で惑星が形成される可能性を示す興味深い天体です。今後の観測技術の進歩によって、さらに多くの周連星惑星が発見され、その形成過程や多様性についての理解が深まることが期待されます。

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