和久田鐵雄

和久田鐵雄：激動の時代を駆け抜けた官僚・法曹

和久田鐵雄（わくだ てつお）は、1904年2月25日に生まれ、1990年4月26日に没した、日本の内務・警察官僚、裁判官、弁護士です。最後の官選大分県知事としても知られています。

生い立ちと初期のキャリア

静岡県出身の和久田鐵雄は、和久田半蔵の長男としてこの世に生を受けました。彼は第四高等学校を卒業後、京都帝国大学法学部に進学し、1928年に卒業しました。同年10月には高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省します。1929年には新潟県警部としてキャリアをスタートさせ、警察官僚としての道を歩み始めました。

内務・警察官僚としての活躍

和久田はその後、警視庁課長、警察講習所教授などの要職を歴任し、警察行政の分野でその手腕を発揮しました。その後、岩手県経済部長、企画院第四部第一課長、宮城県部長・経済部長、広島県内務部長など、多岐にわたる分野で活躍しました。これらの経験を通じて、彼は行政官としての幅広い知識と経験を積み重ねました。

大分県知事として

1947年3月、和久田は大分県知事に任命されます。これは、前任の細田徳寿が知事選に出馬するために辞任したことに伴うものでした。しかし、彼の知事としての任期は非常に短く、知事選挙を執行した後、同年4月には退任しました。この短期間ではありましたが、彼の行政手腕は地方自治に影響を与えました。

戦後のキャリア

大分県知事を退任後、和久田は広島県副知事、広菱倉庫運輸常務、中国地方綜合調査所長などを歴任し、その後、広島簡易裁判所判事、岩国簡易裁判所判事、川崎簡易裁判所判事として司法の分野でも活躍しました。定年退官後は弁護士として活動し、その知識と経験を社会に還元しました。

著作活動

和久田鐵雄は、著書を通じてその知識と見識を後世に伝えました。『警察行政法 総論』と『警察行政法 各論』（いずれも1937年、松華堂）は、警察行政に関する重要な文献として、現在でも参照されています。

まとめ

和久田鐵雄は、激動の時代を生き抜き、内務・警察官僚、裁判官、弁護士として、その多岐にわたる分野で顕著な業績を残しました。彼の生涯は、日本の近代史における官僚と法曹の役割を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。


参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年。

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