和泉由希子

和泉 由希子

日本の競技麻雀プロ、和泉由希子（いずみ ゆきこ）は、その冷静な表情から「アイスドール」の異名を持つ個性的な雀士です。日本プロ麻雀連盟に所属し、現在五段の段位を有しています。麻雀界のみならず、元レースクイーンやタレントとしても活動した経歴を持ち、幅広い分野で活躍しています。

東京都足立区出身の和泉プロは、関東国際高等学校で中国語を専攻し、高校時代には中国への留学経験も積みました。プロ雀士としての道を歩む前には、多様な芸能活動を行っています。2004年には格闘技イベントK-1 WORLD GPのラウンドガールとして、2005年には国内トップフォーミュラであるフォーミュラ・ニッポンの名門チーム「arting RACING TEAM IMPUL」のレースクイーンとして活動しました。また、かつて人気を博した恋愛バラエティ番組『あいのり』にも参加し、「和泉」として出演経験があります。ハンガリーからの旅に参加しましたが、スイスでの告白が実らず一人で帰国するという一幕もありました。2009年には舞台で女優デビューも果たすなど、メディアでの露出も積極的に行っていた時期があります。さらに、2010年からは週に一度、ガイドヘルパーの仕事にも従事しているという一面も持ち合わせています。

プロ雀士としての和泉プロは、日本プロ麻雀連盟の重鎮、小島武夫プロを事実上の師匠と仰ぎ、その教えを受けています。彼女の雀風は、「アイスドール」の異名が示す冷静な佇まいとは異なり、非常に攻撃的です。「下りない麻雀」を信条とし、リスクを恐れずに積極的にリーチを仕掛け、破壊力のある大物手を狙います。特にホンイツやチンイツといった一色手役を得意としており、タイトル戦の優勝を決定づける重要な局面でこれらの手役を和了ることが多いです。一方で、攻撃的なスタイルゆえに放銃率が高くなる傾向もあり、時に手痛い失点をすることもあります。過去には、テレビ対局において師匠である小島プロに二度も役満を放銃したというエピソードも残っており、彼女の良くも悪くもブレない攻撃性を象徴しています。

和泉プロは、数々のタイトルを獲得し、多くのファンに記憶される名勝負を繰り広げてきました。特に、第6回女流MONDO21杯では初出場ながら決勝で黒沢咲プロの追い上げを振り切り、自身初の主要タイトルを獲得しました。最も劇的な勝利として語り草になっているのは、第5回MONDO21王座決定戦での出来事です。オーラス、絶体絶命の状況下で親番を迎えた和泉プロは、起死回生となる三倍満（混一色・対々和・三暗刻・東・白・ドラ4）を見事にツモ和了り、逃げ切りを図っていた飯田正人プロから信じられないような大逆転勝利を収めました。この対局は、モンド麻雀プロリーグの歴史に残る名場面として今なお語り継がれています。

女流桜花リーグでもその勝負強さを発揮しています。第4期に女流Aリーグへ初昇級し、3位で初の決勝進出を果たしました。第5期には一転して不調に陥り、降格の危機に瀕しますが、最終節で値千金の四暗刻を和了り、土壇場で劇的なAリーグ残留を決めています。第8回女流MONDO杯でも、予選の苦戦を乗り越えて決勝へ進出し、親の三倍満、親の跳満と立て続けに大物手を決めて優勝を飾りました。しばらくタイトルから遠ざかっていた時期もありましたが、麻雀最強戦2015女流代表決定戦・菊の陣での優勝は、初の最強戦ファイナル進出という快挙に繋がりました。第11期女流桜花では6年ぶりに決勝の舞台に戻るなど、長きにわたりトップレベルで活躍を続けています。また、プロリーグでも第30期に初のBリーグ昇級を果たすなど、着実にステップアップしています。

プライベートでは、2016年5月にお子さんを出産し、現在はシングルマザーとして子育てにも奮闘していることを公表しています。麻雀関連のテレビ番組には数多く出演しており、『モンド麻雀プロリーグ』や『女流雀士 プロアマNo.1決定戦 てんパイクイーン』などでおなじみの顔です。過去には写真集やイメージDVDも発表するなど、その存在感は麻雀界にとどまらない広がりを見せています。

冷静な「アイスドール」の異名と、情熱的で攻撃的な麻雀スタイル。そのギャップ、そして劇的な勝利を呼び込む強運と勝負度胸で、和泉由希子プロは今後も多くのファンを魅了し続ける存在でしょう。

獲得タイトル：
MONDO21王座決定戦 (第5回)
女流MONDO21杯 (第6回・第8回)
チャレンジカップ (第3期)
さかえ杯女流チャレンジマッチ (第1回)
* 麻雀最強戦2015女流代表決定戦・菊の陣

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