員林市

台湾中部の要衝、員林市

員林市（ユエンリン/いんりん-し、台湾語:Oân-lîm-chhī）は、台湾中西部の彰化県に位置する県轄市です。かつては「員林鎮」と呼ばれていましたが、2015年に市に昇格しました。彰化平原の東部に広がり、肥沃な土地と温暖な気候に恵まれた地域です。周囲は芬園郷、大村郷、埔心郷、永靖郷、社頭郷、そして南投県の南投市と隣接しており、交通の要衝としても重要な役割を担っています。

地理

員林市は、彰化平原の東部に位置し、その大部分が平原で構成されています。南投県との県境に位置する八卦台地を除き、ほぼ平坦な地形が広がっています。平均海抜は25mと低く、亜熱帯気候に属しているため、年間を通して温暖な気候が特徴です。平均気温は約23℃で、四季を通じて過ごしやすい環境です。

歴史

員林地区の開発は、清朝時代の康熙帝中期に遡ります。1683年、清軍が台湾を攻撃し、鄭氏政権を降伏させると、員林は福建省分巡台廈道台湾府諸羅県に編入されました。康熙年間には、施世榜による厝圳や、黄仕郷の十五庄圳などの灌漑施設が整備され、福建省や広東省から多くの人々が開拓にやってきました。

1740年、燕霧保が設置され、員林仔街がその中心となりました。その後、下関条約によって台湾が日本統治下に入ると、行政区画の変更が繰り返され、1920年には台中州員林郡員林街となりました。戦後、台中県員林区員林鎮となり、1950年に彰化県員林鎮に改称、2015年に県轄市に昇格し、現在の員林市に至っています。

経済

員林市は、農業が盛んな地域であり、米や果物などの生産が主要な産業です。近年では、工業や商業も発展しており、地域経済の多様化が進んでいます。中小企業や商店が多く、活気のある経済活動が展開されています。

行政区

員林市は、複数の行政区で構成されており、それぞれの地域で異なる特色を持っています。

教育

員林市には、多くの教育機関が存在します。中州科技大学などの高等教育機関に加え、国立員林高級中学などの高校、国立員林高級農工職業学校や国立崇実高級工業職業学校などの職業学校が設置されています。また、彰化県立員林国民中学をはじめとする中学校や、多くの小学校も地域を支える教育機関として重要な役割を果たしています。

科技学院
中州科技大学
高級中学
国立員林高級中学
高級職校
国立員林高級農工職業学校
国立崇実高級工業職業学校
国立員林高級家商職業学校
私立大慶高級商工職業学校
国民中学
彰化県立員林国民中学
彰化県立大同国民中学
彰化県立明倫国民中学
国民小学

交通

員林市は、台湾中部の交通の要所として、鉄道や道路網が整備されています。台湾鉄路管理局の員林駅を中心に、各地へのアクセスが便利です。また、市内を走るバス路線も充実しており、市民の足として利用されています。

観光

員林市には、歴史的な建造物や自然豊かな公園など、多くの観光スポットが存在します。また、近年では、アートや文化に関するイベントも開催され、観光客を楽しませています。

歴史的建造物

員林市には、以下の様な歴史的建造物が残されています。

江九合済陽堂
游氏宗祠
曹家開台祖塋
張氏追遠堂
員林駅の穀物用鉄道倉庫

これらの建造物は、員林市の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

参考文献

稲宮康人、中島三千男「員林神社 台湾・彰化県員林市」『「神国」の残影 : 海外神社跡地写真記録』国書刊行会〈非文字資料研究叢書 ; 2〉、2019年、15頁。

関連項目

台湾国内には、員林市以外にも同名の地名が存在します。

新北市土城区員林里ならびに員林街（道路）
台中市大雅区員林里
桃園市大渓区員林里ならびに道路員林路（道路）
苗栗県南庄郷員林村

外部リンク

員林市の公式サイト

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