哲学堂公園

哲学堂公園

哲学堂公園は、東京都中野区にある都立公園で、その名の通り哲学をテーマにした独特な空間が広がります。公園の南東の一部は新宿区に位置し、2020年には国の名勝にも指定されました。この公園は、東洋大学の創設者である井上円了が、哲学思想を具現化するために建設したもので、その中心にはソクラテス、カント、孔子、釈迦を祀った「四聖堂」があります。当初、この場所には大学を建設する計画もありましたが、最終的には精神修養のための公園として整備されました。1909年から1912年にかけて、哲理門、六賢台、三学亭など、哲学的な意味合いを持つ建築物が次々と建てられました。

公園の特徴

公園内には、哲学にちなんだユニークな名前がつけられた坂や橋、建物が点在しており、井上円了の思想と世界観を垣間見ることができます。普段は外観のみ見学可能ですが、毎年4月と10月には建物内部も一般公開され、哲学者たちの像を間近に見ることができます。公園の入口にある「七十七場名称案内」には、園内の施設名が記されており、その一つ一つに哲学的な意味が込められています。主要な施設としては、哲学の時空間を表した時空岡、四聖人を祀る四聖堂、東洋の六賢人を祀る六賢台、哲学堂の正門である哲理門、そして神学、儒学、仏教学の三学を奉る三学亭などがあります。また、思想史の始祖ともいえる人物を祀る三祖苑、絶対的な真理を追求するための図書館として名付けられた絶対城、哲学の講義室である宇宙館など、個性的な施設が多数存在します。

2009年には、日本とハンガリーの外交関係開設を記念して、ブダペストにあるものと同じ「哲学の庭」が設置されました。この庭園には、宗教・哲学・法を代表する人物の像が円形に配置されており、釈迦やイエス・キリスト、聖徳太子などの像を見ることができます。公園の北側には、野球場やテニスコートなどの運動施設も併設されており、地域住民の憩いの場としても利用されています。

歴史

鎌倉時代：武将和田義盛の居城であったという伝承が残っています。
1904年（明治37年）：井上円了が四聖堂を建設しました。
1909年（明治42年）～1912年（大正元年）：哲理門、六賢台、三学亭などの建築物が整備されました。
1944年（昭和19年）：井上円了の没後、遺志により東京都に寄贈されました。
1975年（昭和50年）：中野区の管轄となりました。
2006年（平成19年）：指定管理者「日本体育施設グループ」による管理運営が始まりました。
2009年（平成21年）：東京都の名勝に指定されました。
2020年（令和2年）：国の名勝に指定されました。

主な施設

時空岡：哲学の時空間を表現した場所。
四聖堂（哲学堂）：釈迦、孔子、ソクラテス、カントの四聖人を祀る公園の中心的な建物。
六賢台：聖徳太子、菅原道真、荘子、朱子、龍樹、迦毘羅の東洋の六賢人を祀る。
哲理門：哲学堂の正門で、天狗（物質界）と幽霊（精神界）を象徴する像がある。
三学亭：神学、儒学、仏教学の各学祖を祀る。
三祖苑：思想史の始祖とされる黄帝、足目仙人、タレスの石碑が設置。
絶対城：図書館を意味するが、現在は遺構のみ。
宇宙館：哲学の講義室。

哲学堂祭

毎年11月には、東洋大学主催で哲学堂祭が開催されます。この祭では、四聖堂に祀られている四聖人（孔子、釈迦、ソクラテス、カント）をテーマにした講演会が行われ、哲学思想の普及に努めています。参加者には、甘茶、珈琲、紅茶が振る舞われます。

アクセス

所在地：東京都中野区松が丘一丁目34番
電車：西武新宿線新井薬師前駅、都営地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩12分
バス：
中野駅、新井薬師前駅、池袋駅西口、丸山営業所、江古田駅方面から「哲学堂公園入口」「哲学堂」「哲学堂下」バス停が利用可能。
池袋駅西口、落合南長崎駅、江古田駅方面からは「哲学堂」バス停が利用可能。
新宿駅、落合南長崎駅方面からは「哲学堂東」バス停が利用可能。
池袋駅東口、目白駅、落合南長崎駅方面からは「哲学堂」バス停が利用可能。
中村橋方面からは「哲学堂下」バス停が利用可能。
開園時間：4月～9月 午前8時～午後6時、10月～3月 午前9時～午後5時
入園料：無料
休園日：年末（12月29日～31日）を除き無休

関連書籍

井上円了述 『哲学堂案内』 哲学堂事務所、1920年
東洋大学 『東洋大学創立五十年史』 1937年
井上円了著、竹村牧男監修『妖怪玄談』大東出版社 2011年 ISBN 978-4-500-00745-5

外部リンク

* 公式サイト

哲学堂公園は、哲学的な思想に触れながら、自然も楽しめるユニークなスポットです。桜の名所としても知られており、春には多くの人が訪れます。

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